纏わりつく女 3(こぴぺ)

中編7
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纏わりつく女 3(こぴぺ)

ロー○ンに着いた。

外でうずくまってるエーコのすぐ近くに車を停めると、エーコがニコッと笑った。

そう、かわいい笑顔だったのを覚えてる。

車に乗せ、家に向かう。

聞きたい事はたくさんある。

エーコ自身のこと、タイ子の事、Sの家を出てからの事、部屋で何してたのか、Sの親父さんのとこにはこのまま明日行ってしまおうとか・・・

部屋にエーコを入れる。

明るい部屋でエーコの顔をまじまじと見る。

少しやつれている気はするが、見当たる部分に外傷等はなさそうだった。

「Tさん、わたし・・・もう会えないよ・・・」

と、エーコが呟いた。

「どうしてだ?もしかして国に帰るのか?」

「ウン・・・」

まぁ、日本に来てこんな変な出来事に巻き込まれたりしたら、誰もが母国に帰りたくなるだろうなぁ・・・

なんて考えたら、仕方のないことだと思った。

エーコが抱きついてきたので、拒否はしなかった。

店に行き始めて約1年で初めてエーコと関係を持った。

なんとなくエーコから『鉄』のにおいがしてたが、女性特有の日の前後かな?って。

日本人は外国に行くと『醤油くさい』って言われているとテレビで言ってたのを思い出し、全然気にも留めなかった。

エーコと『こと』が済んだ後、タバコを吸いながら俺はぼんやりと考えてた。

『何も聞かずに、起きたらこのままSの親父さんのとこに行った方がいいかな・・・いや、まて!ひとつだけどうしても聞きたいことがある!』

「エーコ、今、タイ子は何してる?」

「もう行っちゃったよ・・・」

「はぁ?国に帰ったのか?いきなりすぎるだろ?」

「ウン・・・でも、行っちゃった。ホントよ」

ずいぶんと早い展開だと思ったりもしたが、文化の違いとか就労ビザの関係か?

なんて考えていた最中に、俺はいつの間にか寝てしまった。

朝起きると、エーコは俺の隣にちゃんといた。

相変わらず笑顔で、あの事件も、俺と関係を持った事も、まるで何もなかったような屈託のない笑顔だった。

「帰ります。いいですか?ロー○ンまでいいですか?」

と、エーコが言い出す。

「いや、Sの親父さんのとこに行こう。俺とエーコだけでも行こう」

「無理ですよ、もう無理ですよ。帰ります。乗せてください」

「だめだ!」

「だめですっ!ホントーにもうだめです!」

エーコの気迫に押されてしまい、結局ロー○ンまで送ってしまった。

結果、俺はエーコと『やった』だけだった。

事務所に行き、コーヒーを飲みながらぼんやりと考える。

タイ子はもういない。

エーコもいなくなる・・・

じゃあSにとり憑いてた、あの女はいったい今どこにいるんだ?

タイ子と一緒にタイに行っちまったのか?

考えれば考えるほど、矛盾点がどんどん出てくる。

俺はこれらの疑問点や矛盾している点をメモに全て記入した。

やっぱりおかしい・・・

俺はSと合流するまでの間、さまざまな仮説を立てた。

あんまりにも物事が急すぎる点

「タイ子は?」

と聞いた時のエーコの反応、逆に、タイ子に

「エーコは?」

と聞いた時のタイ子の反応、なぜエーコはSじゃなくて俺に会ったのか。

そう、流れで言うと頼るのはSのはずだ。

どこをどう考えても、客観的に物事を考えても、どんどんやばい方向へ話が進んでいく気がしてきた。

そもそも、Sがタイ子に電話した時、出たのはタイ子ではなくエーコが出た点も気になる。

ホントなのか、Sの単なる誤解なのか・・・

昼頃、Sから電話が入る。

「どうだ?T、なんか動きあったか?」

「あぁ・・・エーコと会った。んで、親父さんのとこ連れて行こうとしたらさ、ものすごい勢いで拒否された。仕方なく家の近くまで送ってった・・・」

「マジかよー、頼むよ!んで、タイ子について何か聞いたか?」

「国に既に帰ったってエーコは言ってる・・・」

「そっかぁ、なんかおかしぃーなー。まずはどうやってタイ子が帰ったかの確証を得るかだな。まぁ、でもその話がホントだったら、俺の胸のつっかえ取れるし、キモいババァもあれから見ねぇーし。このままいけば俺は万々歳だ」

「Sは何時に仕事終わるんだ?今日も行ってみるか?店に」

「そうだな、3日連ちゃんになるけどしゃーねーな。タイ子の確証取らんとな」

軽く飯を食った後、店に行く。

と、早速女の子に話しかけられた。

「タイ子もエーコも来てないよ。お兄さんたち、なにか知ってるでしょ?」

「おいおい!俺らはなんも知らんから、逆に心配なんだよ」

とSが言う。

「ごめんなさい。すみません・・・」

「いや、こっちこそ悪かった。で、2人とは連絡取れないの?国に帰ったとかそんなんじゃないのかい?エーコと電話はつながったんだ。そしたら国に帰るとか、タイ子はもう帰ったとか言ってたけど。最後にエーコに会いたいって事で俺らはこの店に来てるんだ」

と俺。

「かえった?ないです。ないですよ。なにも言ってないよ!聞いてないよ!」

変な予感的中・・・

まぁ、当たり前か。

早々に店を切り上げて、俺の事務所で飲み直す。

出た結論は、少し間を置こう、無理に会おうとしないでエーコとタイ子に電話をかけよう、様子を見ながら最終的にはSの親父さんに必ず会わせよう、となった。

夕方と夜中、時間を決めて俺はエーコに電話をかける。

Sはタイ子に電話をかける。

もう出ないだろうなーなんて思いながら、発信ボタンを押すが、やっぱり出ない。

何度か繰り返したら、2日目(事件から5日目)の夜中にエーコとつながった。

「エーコか?」

「そーですよ。Tさん、あなたは元気ですか?」

「あぁ、元気だよ。エーコ今は店か?何してる?電話してても大丈夫か?」

「今は自転車乗ってますよー。大きな川の橋の上渡ってますよ」

「なんじゃそりゃ?こんな時間にかぁ?」

電話越しに別の携帯の着信音が聞こえる・・・

「そーですよ。こんな時間ですよ。でも、会うのは無理です。ごめんなさい・・・」

「大丈夫だよ。それより、今からどっか行くのか?自転車なんか乗って」

「はい・・・ゴミ捨てに来ました。いらないものたくさんあります。もう来れないから、全部いらないです」

「川に捨てるなよなー、不法投棄でつかまっちまうぞ」

「ゴミは捨てませんよー、川には魚のえさあげますよー」

「そっかぁ。なんだかよく分かんねーけど、自転車なんだから気をつけろよ!まぁ、また電話するからさ、エーコ、暇なときはすぐ電話くれ」

「はい、わかりました。暇なときは・・・電話します」

電話越しに聞こえた別の携帯の着信音は、Sがタイ子にかけた時に鳴った着信音と一緒だった・・・

下らないと思い始めてきた。

様々な仮説が頭を思い巡らす。

しかし、これが俺とエーコとの最後の電話となった。

事件から7日後の朝

『今日は仕事をしよう!』

と少し早めに事務所に向かう。

鍵を開けようとしたその時、男2人に声をかけられた。

「○○○○のTさんでしょうか?少しお話を聞きたいのですが・・・」

俺の会社名を言ってきたので、てっきり仕事上の話だと思い

「どうぞどうぞ」

と、ちらかったままの事務所に入ってもらう。

しかし、その男の口からは信じられない言葉が飛び出した・・・

「○○○・○○○○○、店での源氏名『エーコ』知ってますね。あなたと彼女はどのようなつながりで、どの程度の関係があるのか私は知りたい」

その男2人は刑事だった・・・

霊うんぬん、オバハンの話を言ったとこで奴らにゃそんな話通用しないことはとうに分かってる。

その話を省いた上で、隠しても仕方がない。

全てを話した。

同日同時刻、Sもやられてた。

Sも俺と同じように、省いた全てを話したらしい。

そう、俺ら2人の話はぴったりつじつまが合った。

店の女の子から聞いたと言う、俺ら2人に対しての話のつじつまもぴったり合った。

本当であれば、当事者のS・幼馴染の俺、登場人物2名のどこにでもありそうなオカルト話で終わるはずだった、『オバハン事件』は信じられない結末となる。

最悪の結果となってしまった。

エーコは、その『オバハン』をタイ子もろとも始末してしまった・・・

6年前、ある地方都市のアパート1階の床下から、女性の首なし遺体が見つかった。

テレビより

死後6日ほど経っており、「異臭がする」との近所の方からの通報により、事件が発覚した。

尚、部屋内くまなく探しても女性の頭部が見つからず、どの女性だか警察は特定を急いでいる。

また、この部屋に住んでいた○○○○・○○○○○○さんが行方不明であることから、共に同居していた女性を重要参考人として事情を聞いている。

エーコに電話をかけると

「お客様のおかけに・・・」

とうとう電源カットとなった・・・

~テレビより~

昨夜、アパート1階の床下から、女性の首なし遺体が発見された事件で、重要参考人として同居していた女性、『エーコ』が取調べを受けていたが、昨夜未明

「大きな橋の上から、下に流れる川に向かって頭部を投げ捨てた」

と、供述した。

殺害理由については、人間関係(男女関係)のもつれによるものが原因とされている。

警察ではこれら供述をもとに、捜査員30名を投入。

関係者から事情を聞くと共に、頭部を投げ捨てたと思われる川で『タイ子』さんと思われる女性の頭部を探すなど、裏づけ捜査をすすめている。

俺とS、2人で立てた仮説はピタリと合った・・・

怖い話投稿:ホラーテラー 暇な人さん  

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