短編2
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船で起こった事

ある航行中の船に突如SOSが無線できた。

無線はSOSを連発しながら、しきりと救助を求めている。位置をを聞くと、そんなに離れた場所ではない。

その時の辺りの天候は良好で、嵐に襲われたとは考えにくい。無線を受けた船の方では、何か突発的な故障か破損が生じたのだろうと思った。

けれども、そのあと入ってくる連絡がどうも要領をえない。ひどく混乱しているうえに、ときおりとんでもないことを打電してくる。

「船長をはじめ、士官多数死す。他の乗組員もたぶん同じ運命をたどっている」

「私もだめだ!こんな恐ろしいことが起きるなんて……」

やがて無線がわけのわからぬ信号を発したままぷっつり途絶えた。

それから三時間後、救援に向かっていた船が、波間に漂う船を発見した。

外見上は、なんの異常もない。

「なんだ、どうということもないじゃないか」

だれもみな事態がのみこめず、首をかしげるばかりだった。

が、救命ボートを降ろし、船に乗り移ったとたん、彼らはアッと叫んで立ちつくしてしまった。

乗組員がそれぞれの持ち場についたまま、全員死骸と化しているのだ。

しかも、その多くはミイラのようにひからび、髑髏のようなうつろな眼を天の一角に向け、顎がはずれんばかりに口をクワッとあけている。

差し出した両手はまるで虚空をつかむかのようだ。そのくせ、外傷はまったく見られない。

SOSを発してからまだ三時間……。いったい何が彼らをこんなにまで変わりはてた姿にしてしまったのか?

救助船の乗組員たちは、いいしれぬ恐怖にかられながらも、なおよく調べようと船倉に降りていった。

と、どういうことか、突然、機関室から出火が起こり、またたくまに燃え広がった。

あわててボートに乗り移る一同。

その一瞬後、船は大音量とともに爆発、海底に沈んでいった。

この怪事件を、ある教授は海上に稀に発生する超低音周波音による殺人ではないかと推理している。

怖い話投稿:ホラーテラー アロエさん  

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