これは友人Kから聞いた話です。
20年程前のある夜、若い男女の乗った1台の車がパトカーに追われていました。
かなりのスピードで市街地を暴走し逃げていたそうです。
やがて交差点に差し掛かった時、信号が赤に変わり運転していた男は歩道を突っ切って左折しようと思いました。
しかしスピードが出過ぎていた為、ハンドル操作を誤り歩道脇の電話ボックスに激突してしまいました。
助手席の彼女は即死、男は車から飛び出し逃げようとしたところを逮捕されました。
彼女を置いて逃げた男として翌日の新聞はデカデカと報じた。
それから十数年が経ち事故も風化した頃友人Aから
「先輩と飲んでいるんだけど来ないか?」
と誘いがあり出かけて行きました。
待ち合わせしたスナックに行くと、Aの他に2人男性(Bさん、Cさん)がいて聞けばAの勤める会社先輩だと言う。
私は自己紹介して席についた。
色々話をしているうちBさんは独身で、Cさんは小さなお子さんがいるお父さんという事がわかった。
私は飲んでいるうちにホロ酔い加減になりBさんに
「Bさんカッコいいのに、どうして結婚しないんですか?」
と尋ねてみた。
Bさんは少し困ったような顔になりごまかしていた。
私は事情があるのだろうと深く詮索せずトイレに向かった。
トイレから出てふと席を見るとBさんの後ろに女が立っている。
店の子かな?と思ったが様子がおかしい…
近づいてよく見ると、首をもたれながらBさんを睨み付け左腕が有り得ない方向を向いてる…顔も血だらけだ!
私は恐ろしくなりすぐさま友人に
「悪い、明日早いから帰るわ」
と一万円を渡しBさん、Cさんに挨拶してその場を立ち去った。
後日友人に聞くと、実は以前あそこで事故を起こし逃げたのはBさんだった、と聞かされた。
「ビックリして気絶するかと思った」
と興奮気味に話すKの右肩には薄ら笑いを浮かべた老婆の首が乗っかっていた。
怖い話投稿:ホラーテラー バジリスクさん
作者怖話