中編4
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借家 2

Aの新しい家に、あの時のメンバーで泊まりに行く事になった。

新しい家は、広くてキレイだった。

Aの家族は、親戚の家に行っていて明日まで帰らないらしいので、僕たちは夜遅くまでハシャイでいた。

くだらない話をしたり、ゲームをしたりと、楽しい時間を過ごした。

深夜になり、トイレに行ってから寝ようと部屋を出た。

トイレを済ませて、部屋のドアを開けたら

「ンククククッ…。」

と笑っている誰かと、すれ違った。

不可解な事に自分の真横を通って行ったのに、誰なのかがわからないんだ。

すぐに振り返ったが、誰もいない。

イヤな予感がした…。部屋の方を見て、人数を確認してみた。

(1・2・3・4…。全員いる…。

じゃあ、僕は誰とすれ違ったんだ?!)

「なぁ!今、誰か部屋を出たよな!」

…誰も返事をしない。

よく見ると、みんな放心状態だった。

訳がわからず、僕は必死に皆に話し掛けた。

「どうしたんだよ!!」

するとAが、消えそうな声で

A:「お…前らが…フ、フタ…開け…るから…。出…て来ちゃ…ったじゃない…か。」

(フタ?開けた?…!!)

僕の頭に浮かんだのは、あの壁の板だった。

アレは、蓋だったのか?…さっきAのヤツ、出て来たって言ったよな?何が?意味わかんねぇよぉ。

『あぁぁぁぁ!!』

僕がパニクってると、Bが叫び暴れ出した。

訳も分からず、僕はとりあえずBを抑えようとした。

Bの叫び声で、我に返ったA以外の友人も加わり、Bを抑えつけた。

僕は少し冷静になり、携帯でBの家に連絡して迎えに来てもらった。

Bの両親は、いったい何があったのか聞いてきたが、僕はモチロン、2人も記憶がなくて分からないと言っていた。

Aは、まだブツブツと呟いていた。

Bの両親が帰った後、僕はAに問い詰めた。

が、相変わらず「お前ら…フタ…出て…。」と繰り返すばかりだった。僕は、

「フタって、あの借家の板の事か?」

Aが黙った…。

「アレを俺とBが開けたから、何なんだよ?!閉めればBは、元に戻るのか?!だったら、あの借家に連れてけよ!!」

A:「…知らない。借家って何の事だ?」

(!!)

ついこの前まで住んでいたはずの借家を、知らないと言っている。

僕は確信した。

あの借家、無数の血の手形がついた板が関係してるんだと。

その夜、親に迎えに来てもらい、自宅に帰った。

翌日‐

自転車に乗って、あの借家を探した。

(板を元に戻そう。そうしたら、Bも元に戻るかも。)

が、一向に借家は見つからなかった。

通りかかった人に尋ねたが、誰も”そんな家はない”と答えた。

疲れたので、自販機でジュースを買って、近くの神社の石垣に座って休憩した。

すると、

「ンククククッ…クククク」

あの笑い声がした…。辺りを見回してみると、

神社の敷地にある木のてっぺんに、

着物を着て、ニヤニヤ笑っている男の人…、その首は今にもちぎれ落ちそうになっていた。

「うあぁぁぁ!!」

僕は、逃げ出した。

(何で?何でこんな訳わかんない目に合うんだよぉ…。)

途中で、幼稚園の時の園長を思い出した。園長の本業は、ウチも世話になっている和尚だ。

ワラをも掴む思いで、和尚の寺に飛び込んだ。

‐泣きじゃくり、今までの事を話すと、和尚は言った。

和尚:「今のお前に、怨念の塊が纏わり付いておる。恐らくB君という子にもな…。

その借家は、霊の吹き溜まりになっていて、誰かがその蓋の中に念を閉じ込めたのであろう。

…札か、経は無かったか?」

「何もなかった…。板の裏に手形があって、中は真っ白。」

和尚:「もしかして、A君とやらがすでに…、もしくは家族が…。」

和尚は、暫く考え込んだ後に

和尚:「よいか。お前が見た事、した事を人に話しては、ならん。怨念は、お前を透して相手に伝わっていく。

ワシが何とかしてみる。だから、人に話してはならんぞ!」

数週間後‐、

A君一家は、行方不明に。

B君は、どこか遠くの病院に入院したらしい。

和尚は、

死んだ…。

自宅の台所で、倒れていたらしい。

耳の鼓膜が破れ、耳が切り落ちた状態で…。

和尚…、僕が話したから死んだの?

ずっと聞こえるんだ。

あの笑い声。

Aのつぶやく声。

Bの叫び声。

今は、和尚の声も聞こえるよ。

もうキツイ…。

和尚との約束、守る自信ないよ。

みんな、僕と同じになればいいんだ…。

怖い話投稿:ホラーテラー 葉月さん  

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