短編2
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参拝客

今年で社会人五年目を迎え昨年無事結婚も出来、順風満帆だ。

そんな俺にもささやかな悩みがあった。

仕事は得意先への営業まわりなのだが、仕事自体に不満は無い。ただ、昼御飯の愛妻弁当を食べる場所が無いのだ。

しばらく仕方なく車で食べる日々が続いたある日。裏通りに神社を発見した。

そこは境内の中に公園のある広くて風情のある神社だった。

秘密基地を見つけた子供の様にそれからというもの俺はベンチで昼食をとるのが日課になった。

仕事のある日はほぼ毎日行ってたので、同じ時間帯に参拝する方と顔見知りになった。それと神主さんとも。

この神主さんが30代の若い方で、話すうちに意気投合し仲良くなった。

ある日、いつものように弁当を食べていると目の前を年老いた参拝客が通った。

俺が座っているベンチからは入り口の鳥居から本堂まで見渡せるのだが…

その老人は見たことの無い方で少し気になり一部始終見ていた。すると、参拝が終わり鳥居をくぐった瞬間

…消えた

例えるならどこで○ドアに入ったようにパッと消えた。唖然として思わずタコさんウィンナーを落としてしまった!

すると後ろから「感の鋭い方なんですね」神主さんの声に再度ビックリ!

「すみません(笑)たまにいらっしゃるんですよ、ああいう方が。亡くなってからも来て頂けるのは有難い事ですがね」

俺は初めて幽霊というものを見てしまった…

そんな俺に神主さんが「折角ですので私が今までで一番驚いた体験を話したいのですが?今のあなたなら分かると思いますので」

俺はすごい気になったので聞かせてもらう事にした。

内容はこんな話だった

しんしんと雪の降る真夜中に目が覚めた、ふと境内の方から気配がする。

見回りに行ってみると何とそこには…

沢山の人。人混みが出来ていた。みんな和服を着て思い思いに参拝している。

神主さんは訳が解らずにさっきの俺みたいに唖然としていたらしい。

参拝が終わると1人また1人と鳥居に消えて行った…

「いやぁ、あの時ばかりは驚きましたよ(笑)後で気付いたのですが、その日は旧正月だったみたいで相当昔の方が初詣にいらっしゃったみたいです」

神主さんは笑いながら話してたが俺が見たらきっと笑えないだろうな。

怖い話投稿:ホラーテラー G.Wの申し子さん  

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素晴らしい文章力ですね。実話云々とか、全く気にならない高レベルなお話。