意外と高いんだなあ。
急に怖くなってきた…。
ああ…なんか手震えてるし。
もう、いいよね。
あたし結構頑張ったよ?
でも無理なもんは無理じゃん。
限界ってもんがあるの。
下で何人かの人達が叫んでる。
うるさいうるさいうるさい。
何よ。
あたしの気持ちも知らずに…
もういいわ。
皆にわからせてあげる。
全てあんた達が悪いの。
せめて、あいつらにだけは舐められたくない…。
これは終わりじゃない。
全てのスタート。
足と地面が離れ、身体がふわりと浮いた。
その刹那、景色が縦に伸びる。
彼女は飛び降りた。
「キャアアアァァ!!!」
残酷な叫び声がこだまする。
この時の彼女の頭の中は恐怖と後悔の2つしかなかった。
うっ。
気持ち悪い。
何この感覚。
息…出来ない。
終わるの?
ちゃんとこれで終わるの?
やだ。
怖い。
怖い。
脳が本能的に時間感覚を圧縮する。
長い。
まだなの?
もういいよ。
早く楽にさせて…
彼女がこう思うのは無理もない事だった。
しかし、実際のところ落下時間が長い訳ではない。
思考速度が速いのだ。
あっ。
終わる。
オワル。
彼女は目を見開いた。
その瞬間、大きな音がした。
全てが、終わった。
下に居た連中が彼女に向け叫んだ。
「ヒュー!」
「やっと飛べたな!やるじゃん!」
水面から彼女は顔を出した。
彼女は満面の笑みで言った。
「結構余裕だね!」
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話