短編2
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飛び降り

意外と高いんだなあ。

急に怖くなってきた…。

ああ…なんか手震えてるし。

もう、いいよね。

あたし結構頑張ったよ?

でも無理なもんは無理じゃん。

限界ってもんがあるの。

下で何人かの人達が叫んでる。

うるさいうるさいうるさい。

何よ。

あたしの気持ちも知らずに…

もういいわ。

皆にわからせてあげる。

全てあんた達が悪いの。

せめて、あいつらにだけは舐められたくない…。

これは終わりじゃない。

全てのスタート。

足と地面が離れ、身体がふわりと浮いた。

その刹那、景色が縦に伸びる。

彼女は飛び降りた。

「キャアアアァァ!!!」

残酷な叫び声がこだまする。

この時の彼女の頭の中は恐怖と後悔の2つしかなかった。

うっ。

気持ち悪い。

何この感覚。

息…出来ない。

終わるの?

ちゃんとこれで終わるの?

やだ。

怖い。

怖い。

脳が本能的に時間感覚を圧縮する。

長い。

まだなの?

もういいよ。

早く楽にさせて…

彼女がこう思うのは無理もない事だった。

しかし、実際のところ落下時間が長い訳ではない。

思考速度が速いのだ。

あっ。

終わる。

オワル。

彼女は目を見開いた。

その瞬間、大きな音がした。

全てが、終わった。

下に居た連中が彼女に向け叫んだ。

「ヒュー!」

「やっと飛べたな!やるじゃん!」

水面から彼女は顔を出した。

彼女は満面の笑みで言った。

「結構余裕だね!」

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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