良かったのか…悪かったのか…。

中編5
  • 表示切替
  • 使い方

良かったのか…悪かったのか…。

何週間か前にあった事です。

自分は運送会社に働いていますが、百年に一度の大不況と言われる昨今、陸送も大変な状況なのであります。

従って、仕事も減っている為に数年前からたまにタクシーのアルバイトをして、日銭を稼いでおります。

その日はお昼頃から雨が降り続きそこそこ忙しく、あっという間に夕方になった。

翌日は運送会社の仕事も休みなので、『今日は終電まで出来るから早めに夕飯食って一眠りするか…。』

そう思っていた。

19時頃、仕事再開!

夜になっても雨は降り続き、駅のロータリーにお客さんがいっぱい。

こういった天候の時は下手な遠距離よりも何回もできる短距離の方が効率が良いのである。

そんなもんだから、終電が終わる頃には売上金5万円は越えていた。

今、思うとそこで真っ直ぐ車庫に帰っていれば……。

帰りの道で前に空車のタクシーが走っていたので、違う道を選んだ。お客さんがいるかも!というスケベ根性で前に空車が居るのを嫌う為であります。

しかし、繁華街は反れてしまう。でも、売上もいっていたので、別にお客さんがひろえなくてもいいやと思っていた。

ちょっと暗い道に入り、一方通行を曲がり大通りにでる橋の手前で人影が目に入った。

夜中に走っていると捨て看板や郵便ポストでさえ、お客さんが手を挙げているように見える時があるんです。一瞬、それかなぁ?と思いましたが、やはり女性が手を挙げているのがはっきりと見えました。

キィィーッ!ガチャッ…。

『ハイ、どうぞ!』

女性は着ていたレインコートを脱ぎ払い、くるくるっとそれを丸め、

『すみません…〇〇の〇〇ご存知…ですか?』

『はい…。知っておりますが…。けっこう時間もお金もかかりますよ。』

若い女性だったので大丈夫かな?と思い、余計な事まで言ってしまったが、その女性は驚く事に、

『そこに行ったらまた此処に戻って来て欲しいのですが…よろしいですか?

先にお金は払っておきます。足りなかったら降りる時にまたお支払しますので…。』

そう言って女性は3万円、自分に渡した。

女性が言った場所は県外に差し掛かる所にある湖。

横浜からは夜中でも片道1時間半から2時間はかかる。

保土ヶ谷バイパスをひた走り、橋本五差路を抜けて約20分。

目的地に到着。

そこは湖沿いから少し離れた洋風の建物だった。

『運転手さん、10分ぐらいで戻って来るので、待っててください。』

頭の中に過ったのは、『あの女、幽霊?』

思わず万札3枚、確認してしまった…。本物だった。

嫌な事を思いだしてしまった。

『ここら辺の廃墟ホテル、幽霊が出るってこの前、誰か言ってたなぁ…。』

まさにそこは…………、

『ホテルっぽい?』

こんな淋しい所、車も通らない。コンビニも無い。有るのは暗い街灯に使えるかどうかも分からん自販機。

それに、バス停に人がいるだけ…。

………………!

バス停に……ひ・と…?

こんな…深夜に!?

その人影がこちらに気付いたようにゆっくりと歩きだした。

正直、逃げようか迷った。

頭では怖い、この場から立ち去りたい!

しかし、心の中ではお客さんを置いていけない!

10分なんて、とっくに過ぎている。

バス停の方を見れば人影は近づいている。

どうすればいいんだ!

そう思った時……!

ドンドンドンドンドン!

心臓が一瞬だけ止まった。

後ろを向くと、レインコートを着た女性でした。

ガチャ!

『ごめんなさい!直ぐに出してください!早く!』

『言われなくても、そうさせてもらうよ!』

タイヤを鳴らし、車を発進した。

ここで女性に質問した!

『あんな場所に何の用事があったのか知りませんが、何なんですか!アレは!』

すると、驚いた顔で

『運転手さん、何か見えたんですか?』

『バス停に人がいて近づいて来てましたよ!

正直、逃げようか迷っていました。』

話をするとその女性はある霊能者のお弟子さんで昼間にその場所に来て除霊をしたらしいのです。(話の内容からそう解釈をしました。あまりにも難しい語群を言われたのと、パニック状態で思考回路がショートしてましたので話半分です。悪しからず。)

バックミラーを見ながら話をしていると、見えてしまったのです。

リアガラスに女性が張りついてこちらを覗き、睨んでいました。

その女性も流石に、

ギャアァァァー!!!

『どうすれば良いのか、その霊能者に電話してくださいよ!

このままだとヤバイですよ!』

自分がそう言うと携帯電話を取出した。

走っているうち、怖いのと同時に腹が立って来て、スピードを上げた。

なんで、こんな目に合わなきゃいけないんだ!そんな事を思っていました。

あれ?不思議。消えてしまった。

『お客さん、消えたよ。』

そういうと女性は電話で話してる霊能者に何かを聞いている様子であった。

だが、そんなに甘くはなかった。

視線を感じていた自分はふと助手席側の窓に目をやった……すると……!

今度は若い男性と女性が顔を重ね合わせ、こちらをガンミしていた。

再び、

ギャアァァァー!!!

すると今度は女性が電話を離して自分のポケットから数珠?らしき物を取出し、何かを念じ始めた。

自分は運転に集中して前だけ向いていた。

どれくらい経っただろうか?女性が一言、

『運転手さん、ごめんなさい。もう大丈夫ですよ。

巻き込んだみたいになっちゃって、本当に申し訳ないと思っています。』

何故?と聞きたかったが、それ以上の事は話したがらなかったので問いませんでした。

女性を乗せた最初の場所に着くと傘をさした中年のおばさんが立っていました。

『運転手さん、本当にごめんなさい。これはお詫びです。取っといてください。それとこれは御札、御守りと思ってください。いつも身に付けている物と一緒にしとくと効果があります。あと申し訳ないですが今日の事はご内密に……。』

お詫びとして、プラス3万円いただきました。

車庫に帰り、洗車をしようとした時、驚きました。

後ろのリアガラスに助手席側の窓ガラスには手の跡がベタベタくっきり着いていました。

触るのも嫌なので近くのGSに洗車を頼みました。それもワックス洗車!

良かった部分は有りましたが、(その日の売上金は8万円を越え、後から貰った3万円はチップとなった。)怖い思いはしたく無いです。

最後まで隠したかったアレは何なんでしょう?

あれから何週間か経ちますが、今のところ何も無いです。

財布に入れている御札のおかげなんですかねぇ?

つまらない話で、申し訳ない。

これで終わりです。

怖い話投稿:ホラーテラー 濱っ子とうちゃんさん  

Concrete 59189e6fb4d79119a63e92183ffb92aeb8f46031afd97d5db060811ce15c35e6
閲覧数コメント怖い
23100
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ