短編2
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恨まれた友人 その3、

だいたい死んだ時の姿で現れるよね、幽霊。でもあれ、ホントは違うんだぜ?

A兄(Aの兄)がタバコに火を付ける。狭いプレハブ小屋の中に煙が充満して来たので換気扇の紐を引く A兄「悪いね、境内禁煙だからさ」

そう言うとA兄は返事も聞かずに話を続ける

A兄「例えば…昔の幽霊はだいたい白い死に装束に三角巾だろ?着るのは死んだ後なのにね

 酷い事故で亡くなったなら…それプラス血まみれとか部位欠損とか」

俺「?」A兄が何を言わんとしてるか解らない俺

A兄「でも、なんで死んじゃったか、つまり事故を認識してなきゃあ無傷で現れる。要するに、俺らが見る霊体は最後に認識したイメージね」

俺「はあ…」

A兄「つまり、「俺、死んじゃうけど、死んだら死に装束着せられるよな」ってイメージして死んじゃうから死に装束で出てきちゃうし

「私、お墓の下で腐っちゃうんわ」ってイメージして死んだら腐乱して登場 防腐処理してあんのに」

鈍い俺も徐々にA兄の言う事が核心に近付いてる事が判って来る。

渡された缶コーヒーに口を付けると俺は一気に半分以上飲み干した A兄の口が開くのをじっと待つ俺

A兄「アレ(ハンチング)は一番いいイメージだね」

俺「…つまり……ホントはもっと、こう…」なんか知らんが言葉を選んで喋ろうとする俺

A兄「ハンチングの認識で出来たいいビジュアルをAが変化させちゃった」

俺「うわぁ」それ、なんかマズイんじゃね?って判る

A兄がニヤニヤしながら真面目な口調で「しっかし、まさか落ちるだなんてね…俺が居ても想定外だよ」

A兄「ボトン、ドサッだってよ」俺「…」その表現、実に生々しい

A兄が薄ら笑いで続ける「聞こえなかったんだよね?俺君には」

なんか他人事って感じ。しかもなんだか楽しそう 性格を疑う

俺「はあ、」

A兄「スリッパでスパパパーンだって?Bも悔しがってたよ、それ見れなくて」 なんか音増えてるし

俺「からかわないで下さいよ、マジ恐いんですから」

A兄「ゴメンゴメン、実はそんなに深刻じゃないんだ。で、怒らせた原因言うよ」

俺「…はい」

A兄「Aに聞いたまま言うね。俺君に憑いたハンチングが頑固でなかなか言うことを聞かない

手加減してやってるのにふざけた言い訳するから思わずツッコミ入れた 頭を…そしたら君の頭から…ボトン、ドサッて」

俺「ちょ、もういいです」 血まみれで転げ落ちるハンチングの頭部を想像してビビる俺がいる

つづく

怖い話投稿:ホラーテラー なみすけさん  

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