中編3
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幻視鏡 其の弐

続きです。

Wは、見たまんまのそいつの姿を母親に話した。

「........で、そいつが笑いながら追ってくるんだよ!!」

「............」

「信じてくれないの?」

「だって.......そんなもの本当に居るわけ...........」

「...........ちょっと待ってて。」

Wはもう一度そいつの姿を確認しようとした。

実際の所、あんなものは二度と見たくない。今でも体が震えてうまく力がでない。

だが、その反面、あんなものは俺の見間違いで、ストーカーストーカーってびくびくしながら見たのがいけなかったんだ。

そう思ってる、違う、そう願ってる自分が居た。

(あいつが本当にいるかどうか、確かめなくちゃ何も分からない。そうだ、お母さんだって言ってた、そんなもの居るわけ無いって。)

Wは、自分の勘違いであることを祈って、そいつが居ないことを祈って玄関のドアを開けた。

だが、そいつはいた。

見間違いでも、思い込みでも、勘違いでもない、全身真っ黒で、二次元のように厚さがないそいつは、確かにそこに存在した。

にたにた笑いながらこちらを凝視している。

Wは、今すぐにでも逃げ出したい衝動にかられた。

本能が、そいつはやばいと言っているのが分かる。

だが、逃げ出すわけにはいかなかった。

「お母さん!!来て!!」

Wは叫ぶように母親を呼んだ。

(これを見れば本当だって信じてもらえる。)

Wは、これで少しはどうにかなるだろう。そう思っていた。

「W!?どうしたの!?」

「お母さんこれ見て、ほら、本当に居たでしょ。」

「.............何が?」

「!! 何言ってんの!!こいつだよ!こいつ!」

Wは家の前に居るそいつを指差した。

「.......何も居ないけど。」

ふざけてんのか!!

Wがそう叫ぼうとした時だった。

「あはははははははははははは!!!」

そいつが突然大声で笑い出した。

Wは耐えられなくなり、急いで玄関を閉め、自分の部屋へまっしぐらに向かった。

「ねえー、ご飯だよー。ねえー!.........ラップかけておくからね。」

Wはずっと考えていた。晩御飯などどうでもよかった。

母親も、何かWによくない事が起こっているのは

、Wのあまりの怯えかたをを見て分かっていた。

だが、何がWを苦しめているのかは、全く分からなかった。

「確かにあいつはそこにいた。勘違いじゃない、声も聞こえた。........じゃあ何でお母さんは分からないんだ。」

Wは一晩中ずっと考えていた。

「あいつは一体何なんだ。どうして俺についてくる?」

いくら考えた所で何も分からなかった。

朝になった。学校だ。

全く眠っていなかったWの目にはくまが出来ていた。

リビングに行くと、母親が朝食を作っていた。

「あっおはよう。よく眠れた?もう大丈夫なの?」

母親は優しい言葉をかけてくれた。

「あっうん...........」

Wは、そう答えるしかなかった。

(お母さん、俺の事心配してくれているのか。でも........俺に何が起きてるのかは、全く分かってない。)

お母さんには頼れない。

Wはそう思った。

(問題は、あいつがまだ外に居るかどうかだ。)

家の中からは、なぜかあいつの姿は見えなかった。

だが、おそらく玄関を開ければあいつは居る。

学校に居る間も、あいつはつけてくるだろう。

(家にこもってても、何も変わらない。だめもとだが、クラスメートでも頼ってみるか。)

Wは学校へ行くことを、外に出ることを決心した。

「いってきまーす。」

Wは元気よく言った。

だが、玄関を開けようとする右手は、またぶるぶると震えていた。

(あいつがもし居ても、無視して早く学校に行こう。)

Wは勇気を出し玄関を開けた。

やはり、居た。

すみません続きます。

怖い話投稿:ホラーテラー 青二才さん  

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