続きです。
Wは、見たまんまのそいつの姿を母親に話した。
「........で、そいつが笑いながら追ってくるんだよ!!」
「............」
「信じてくれないの?」
「だって.......そんなもの本当に居るわけ...........」
「...........ちょっと待ってて。」
Wはもう一度そいつの姿を確認しようとした。
実際の所、あんなものは二度と見たくない。今でも体が震えてうまく力がでない。
だが、その反面、あんなものは俺の見間違いで、ストーカーストーカーってびくびくしながら見たのがいけなかったんだ。
そう思ってる、違う、そう願ってる自分が居た。
(あいつが本当にいるかどうか、確かめなくちゃ何も分からない。そうだ、お母さんだって言ってた、そんなもの居るわけ無いって。)
Wは、自分の勘違いであることを祈って、そいつが居ないことを祈って玄関のドアを開けた。
だが、そいつはいた。
見間違いでも、思い込みでも、勘違いでもない、全身真っ黒で、二次元のように厚さがないそいつは、確かにそこに存在した。
にたにた笑いながらこちらを凝視している。
Wは、今すぐにでも逃げ出したい衝動にかられた。
本能が、そいつはやばいと言っているのが分かる。
だが、逃げ出すわけにはいかなかった。
「お母さん!!来て!!」
Wは叫ぶように母親を呼んだ。
(これを見れば本当だって信じてもらえる。)
Wは、これで少しはどうにかなるだろう。そう思っていた。
「W!?どうしたの!?」
「お母さんこれ見て、ほら、本当に居たでしょ。」
「.............何が?」
「!! 何言ってんの!!こいつだよ!こいつ!」
Wは家の前に居るそいつを指差した。
「.......何も居ないけど。」
ふざけてんのか!!
Wがそう叫ぼうとした時だった。
「あはははははははははははは!!!」
そいつが突然大声で笑い出した。
Wは耐えられなくなり、急いで玄関を閉め、自分の部屋へまっしぐらに向かった。
「ねえー、ご飯だよー。ねえー!.........ラップかけておくからね。」
Wはずっと考えていた。晩御飯などどうでもよかった。
母親も、何かWによくない事が起こっているのは
、Wのあまりの怯えかたをを見て分かっていた。
だが、何がWを苦しめているのかは、全く分からなかった。
「確かにあいつはそこにいた。勘違いじゃない、声も聞こえた。........じゃあ何でお母さんは分からないんだ。」
Wは一晩中ずっと考えていた。
「あいつは一体何なんだ。どうして俺についてくる?」
いくら考えた所で何も分からなかった。
朝になった。学校だ。
全く眠っていなかったWの目にはくまが出来ていた。
リビングに行くと、母親が朝食を作っていた。
「あっおはよう。よく眠れた?もう大丈夫なの?」
母親は優しい言葉をかけてくれた。
「あっうん...........」
Wは、そう答えるしかなかった。
(お母さん、俺の事心配してくれているのか。でも........俺に何が起きてるのかは、全く分かってない。)
お母さんには頼れない。
Wはそう思った。
(問題は、あいつがまだ外に居るかどうかだ。)
家の中からは、なぜかあいつの姿は見えなかった。
だが、おそらく玄関を開ければあいつは居る。
学校に居る間も、あいつはつけてくるだろう。
(家にこもってても、何も変わらない。だめもとだが、クラスメートでも頼ってみるか。)
Wは学校へ行くことを、外に出ることを決心した。
「いってきまーす。」
Wは元気よく言った。
だが、玄関を開けようとする右手は、またぶるぶると震えていた。
(あいつがもし居ても、無視して早く学校に行こう。)
Wは勇気を出し玄関を開けた。
やはり、居た。
すみません続きます。
怖い話投稿:ホラーテラー 青二才さん
作者怖話