中編3
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幻視鏡 其の伍

続きです。

「何で......」

Wの目から、ぽろぽろと涙が零れた。

(お母さんは、俺を信じてくれるどころか、俺が嘘をついてるって疑ってるんだ...........俺が............嘘を.............)

とうとうWの心がぶっ壊れた。

「うわーーーー!!!」

「!どうした......」

「何で!どうして!!何で何で!!!俺は、本当の事を言ってるだけなのに!!どうして誰も!!誰も信じてくれないんだ!!!!」

「W!!いい加減にして!!どうして本当の事を言ってくれないの!そんなにお母さんが信じられないの!!」

「信じてくれないのはお母さんの......」

お母さんのほうだろ!

そうWが言おうとした時だった。

Wは突然、背後からまとわりつくような視線を感じた。

「えっ......」

まさか....嘘だ....

Wの頭の中は混乱した。

そんな、あいつは家の中に居ないはずだ。

Wの体から、滝のように汗が出た。

体がどんどん震え始めた。

Wは、見たくない、という気持ちを抑え、ゆっくりと後ろを振り返った。

あいつはそこにいた。

真っ黒の、二次元のように厚さの無い体。

目と口だけの、不気味な顔。

間違いなく、あいつだった。

にたにた笑いながら、こっちを見ている。

(そんな.......)

Wは絶望した。

(家の中は、唯一安心できる場所だったのに...........)

Wは力なくその場にへたりこんだ。

「W!?どうしたの?」

母親が驚き、声をかけたが、Wにはまるで届いてなかった。

その時だった。

母親の方から、母親のとは違う、別の何かの視線を感じた。

「っ!!」

Wは反射的に母親の方を振り返った。

母親の後ろにもう一体のあいつが居た。

家の中に、二体のあいつが居る。

(えっ!何で!どういう事!)

Wは完全にパニックになった。

「W!?どうしたの!?W!!?」

母親は何が起こったのか分からず、ただただWに尋ね続けた。

だが、Wはそれを無視し、家の外へと目を向けた。

なんだよ...........これ............

Wの目に映ったのは、彼にとってはまさに地獄だった。

Wの家に面している道路には、いたる所にあいつがいた。

道路の真ん中に立っているもの、電信柱の影に居るもの、向かいの家の前に居るもの...........

家の中から見ただけでも、少なくとも四体は居た。

(あいつが、増えた!?)

Wは恐怖するよりも、ただただ驚愕した。

母親がなにかを言っているようだったが、そんな事はどうでもよかった。

「あはははははははははははははは!!」

「!!?」

家の中に居る二体、外に居る四体あいつら全員が、Wの方を向き一斉に笑い始めた。

そこでWは、我に返った。

頭に響くあいつらの笑い声。

まとわりつく大量の視線。

心の奥から恐怖が湧き上がった。

「わーーーー!!!!」

Wは悲鳴を上げ、二階にある自分の部屋へ走り出した。

「ちょっとW!!?」

母親の声など聞こえなかった。

Wは急いで自分の部屋に入ると、カーテンを閉め、外が見えてしまう所全てを遮断した。

だが、笑い声は響くままだった。

幸いな事に、自分の部屋の中にはあいつらはいなかった。

(もう、だめだ。この部屋から出れない...........誰か............助けてくれ............)

Wは心の中で助けを呼んだ。

本当にすいません。これで終わる予定だったのですが、実力不足により、まとめ切れませんでした。

次で必ず終わらせるようにしますので、呆れず見守ってください。

怖い話投稿:ホラーテラー 青二才さん  

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