中編3
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峠の滝 参

前を照らす懐中電灯の光から急に眼をそらしたからきっと眼が眩んだのだろう。

しばらくするとだんだん暗闇に目が慣れてきた。

呼んでも呼んでもEは返事をしない。

それどころかさっきまで背後に感じていた生きている人間の気配、それがまるで感じられなかった。

Kは「いない!どこいったんだよ!?もう意味わかんねーよこのお札何なんだよ!?」と私を泣きながら揺さぶってきた。

「とにかくE探すべ!」

我に返ってメガネさんの腕をふりほどいたYは、

しっかりしろと言わんばかりにゴツンとKの頭にげんこつを食らわせた。

泣きながら喚いていた私もKもそれで少し冷静さを取り戻し、一度車に戻ろう。ということになった。

メガネさんはというと、Yに振り払われたことがよほどショックだったのかYを見つめたままその場で茫然としていた。

何かブツブツと呟いていた。

少し距離があって私にはよく聞こえなかったけど・・・

私たちはそんなメガネをもう眼中に入れずとりあえずは来た道を戻り始めた。

Yがメガネさんから奪った懐中電灯を持って先を進む。後ろに続く私たちは自分たちの足元に目を凝らすので精いっぱいだった。

三人で恐る恐るかたまっって歩く。

歩きだしていくらもたたないうちに、私の肩に何かがドサっと真横から倒れこんできた。正確にはよしかかってきたみたいな感じ。

私「!!!!????」

本当にびっくりした時って声でないもんだ。

私の後ろに続いていたKは、私に起きた異変に気付かず「あぶね!早く行けよ」と急かしている。

恐る恐る慣れてきた目を凝らすと、私の肩に丁度顎を乗せる形でEの顔がそこにあった。

「い゛ーい゛ー」と涎をたらしまくりながら私にしがみ付いてくる。

どう見ても正気じゃない!私はもうひたすら「たすけてたすけてたすけて」と体を硬直させるしかなかった。

肩の上のEの眼はアザラシ見たいに黒目しかなかった。

黒目の大きな動物はあんなに可愛いのに黒目ばっかりの人間とはこんなにも恐ろしい形相になるのかと驚くものがある。

私が固まっていると、ようやく異変に気付いたYとKが必死でEを私から剥がそうとするが、元野球部で鍛え上げた男二人がかりでもEの華奢な腕はびくともしない。

顔は間違いなくEなのに、どうしても人間とは思えなかった。

私は当然パニックでひたすら「たすけて」を繰り返す。

その時遊歩道の奥からシャリンシャリンシャリン・・・・!!!と激しい音を立てながら近づいて来た何者かが「キエーーーーー!!!!」と漫画みたいな声をあげてEに飛びかかった。

それがメガネさんだということを認識したのは5秒後くらいのことだったが・・・・

メガネさんは持っていた棒でバシバシとEを叩きながら「出てけ悪霊!生徒に手を出すとはこの私が許さぬ!」みたいなことを叫んでいる。

私たちの頭にぬーべーが浮かんだのは言うまでもない。

なんだかよくわからないがメガネが騒いでいるうちにEの腕が緩んだ。

その隙に私たち三人は足元に躓きながらも元来た道を必死で走った。

どうやらEは追ってこないようだ。

やっとの思いで車にたどりついたが、メガネさんが戻ってこないので車は動かせない。

かといって黙ってその場に留まれるほど私たちの神経は図太くなかった。

YとKが車の中に武器か何かに使えそうな物はないか荷台とダッシュボードをそれぞれ探っていたが、ダッシュボードを開いたYがいきなり顔色を変えて「おい!今すぐ逃げるぞ!下の温泉街まで走れ!!!」

と言い終わらないうちに走りだしたので私たちも意味不明ながら

(え!?何!?またなんか来たの!??)と慌ててYの後を追った。

次で終わらせます。

怖い話投稿:ホラーテラー 岬漁業部さん  

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