中編2
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ナナシコピペ3

ナナシと仲良くなった切欠は、正直なところ覚えていない。

いつのまにか仲良くなり、あたりまえにそばに居るようになった。

しかし、初めてしゃべったときのことだけは鮮明に覚えている。

あれはまだ、入学したての頃のことだったと思う。

僕は飼育係に半ば無理やりさせられて、その日も確か小屋の掃除をするために皆が帰った後も残っていた。引っ込み思案で地味な僕はなかなか友達もできず、毎日が憂鬱だった。そんななかで押し付けられたとはいえ、ウサギや鶏の世話をすることは僕の癒しでもあった。

その日、併設されている小学校の飼育係の子が餌を置いて帰った後、僕は掃除の水汲みのために給水場に行った。あとでウサギたちと遊ぶことに胸をわくわくさせながら。

しかし、小屋の前まで帰ってきて僕は驚いた。

一匹のウサギが横たわって、動かなくなっていたから。

そしてその傍らに、見覚えのある少年が立っていたから。

「なな・・・・・しま、くん」

ナナシマキョウスケ。

クラスメイトで、いつも男女問わず何人もの人に囲まれて笑っている、人気者。お調子者で、先生や先輩にも好かれていて、僕とは真逆の立ち位置にいる人間だった。

だから僕は彼が苦手だった。

僕にないもの、僕のほしいものを全部持っていて、うらやましかった。

あこがれていたクラスメイトの女の子とも、気さくにしゃべっていた彼が妬ましかった。

そんな一方的なねたみから、僕は彼と極力関わらないようにしてたのに、まさかこんなところで逢うなんて。

それも、ウサギのなきがらの前で。

・・・・・ウサギの、なきがらの前に、なんでこいつがいるんだろう。

僕は自分でもわかるくらいはっきりと、鋭い目つきで彼を睨んだ。

「藤野か。」

ウサギを前に呆けていたナナシマは、僕に気付いて声をかけてきた。それが最初の会話だった。

僕は彼がウサギを殺したんだと思った。

いろんなものを持ってるのに、まだ僕から奪うのか。一生懸命世話をして、唯一の友人の一人だったウサギ。

毛の色からして、一番年寄りだったミミ子に間違いない。いつも美味しそうに餌を食べて、僕の足元にいたミミ子を。こいつが。

沸沸と怒りと悔しさがこみ上げてくるのがわかった。そして同時に、彼が僕の名前を知っていたことが何故か嬉しく、そしてそんな自分が余計許せなかった。

コピペ4に続きを載せます。

怖い話投稿:ホラーテラー アロエさん  

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