短編2
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ニオイ

昔の話になる。

中学生による連続殺傷事件が起きた。

少年は逮捕された。数年後、出所すると事件のあった街より遠く離れた街に連れて行かれるそうだ。そして人生の再出発をする。

人間の生の情報は速い。誰が何の目的で洩らしたかはわからないが俺の住む田舎町…

そして偶然にも俺の家から徒歩15秒の場所に新しくできたコンビニで働いていると親の知人が密かに教えてくれた。

俺は事実を確かめようと当時の週刊誌を持っていたので顔を確認してコンビニに行った。

面影があり、確かに当事者であるとわかった。

俺は商品を手にして、緊張する気持ちを抑えた。

そして一般客として、その男のいるレジに行った。

一見して本当に連続殺傷した同じ男とは思えない気弱な感じだった。

しかしカウンターを挟んだ近い距離で男を見ると、見た目ではわからない異様な雰囲気に包まれていた。

男を囲うようにして気温が周囲と比べ、若干低く感じる。

そして微弱ではあるが発せられる冷気から独特の臭いがした。

本人がそのことに気づいているかわからないが、俺は人を殺めた罰の重さと恐ろしさを感じた。

塀の中で数年間どんなに反省しても、社会復帰してどんなに平静を装っても拭えない臭い。

そして私は男がこれから先、報われない努力と苦労を一生背負っていかなければならないのだと理解した。

何故なら男の体に纏う臭いから、死ぬまで男から離れずに苦しみを与え続けようとする執念のようなものを感じとったからだ。

何故だか悲しくなったのを覚えている。私の周囲でも、勤め先は知らないが男がこの街にいるということを噂話として聞いた人が他にもいて話題になった。

俺は知らないフリをして所詮は噂話だから嘘だと吹聴した。男は1ヶ月程してコンビニからいなくなっていた。

男は“研修中”の札を胸元にしていた。研修が終わり別の支店に行ったと思う。臭いの正体はわかない。

俺はこの経験後、他にも同じような雰囲気と臭いを持つ人を感じるようになった。

何か重い罪を背負う者に纏う共通する特有な臭いだとわかった。

人殺しだけは絶対やめたほうがいいぞ。

怖い話投稿:ホラーテラー moisturemilkさん  

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