短編2
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Aー6

家までの帰り道とてつもなく長く感じられた。

「おかえり」

母の声がこんなに安心出来るなんて。

2階の自分の部屋に行きベットに寝転がる。

ズボンに違和感を感じポケットの中身を取り出した。

…あの時Aに差し出されて迂闊にも受け取っていたようだ。

顔の表情とか服とか細かな物は無い。

シンプルな作りの人形は所々汚れていた。

その汚れは俺の血に違いない。

……

ゴミ箱に投げ捨てようかと思ったがAの言った言葉を思い出す。

「貴方の分身」

俺はBに電話をかけた。

「だから言っただろう。あいつはかなり危ない奴だ。そんなもんとっと捨てろ。オカルトマニアなだけだよ」

……捨てれないから電話してんだろ〜が。

ボソボソと耳障りな話し声が聞こえる。

よく聞こえないな。

苛々する。

はっきり喋ろ。

苛々する。

心地よい風が吹いてきた。

誰かの髪が俺の頬をくすぐる。

天然パーマのぐるぐる。

「やあ。こんな所で何してんの?」

「鳥さんがね貴方とお話したいって。髪の毛ちょうだいって」

!!!

身体中から汗が吹き出ていた。

いつのまにやら眠っていたようだ。

起き上がろうとした手に何かが触れた。

人形だ…勘弁してくれ。

俺は一体どうしちまったんだ。

翌朝俺はAに会いに隣のクラスに向かった。

Aは何事もなかったように俺の顔を見微笑んだ。

俺のズボンのポケットを

ツンツンしながらこう囁いた。

「こんな所に持って来たらダメだよ」

そして声に出さず

ア・ト・デ・ネ

そのタイミングに合わせるかのようにチャイムが鳴った。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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