中編3
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夢が悲しい現実に…

爺さん、婆さん、父、母、娘の五人家族の家がありました。

大人達は一人娘(Cちゃん)を大切にしてました。

なかなか二人目に恵まれずCちゃんを産んでから十年もたっていて、母は爺さん、婆さん、親戚、近所の人達から

『二人目まだ?』とか

頻繁に言われたり

Cちゃんからも

『〇〇ちゃんみたいに妹か弟が欲しい』とか言われ

かなり焦ってました。

やがて母は念願の二人目を妊娠してる事がわかり

みんな大喜びしました。

順調にお腹も大きくなり

出産の日を迎えました。

七時間かけて待望の二人目を無事出産!

しかも後継ぎの男の子でした。

名前は〔幸喜=こうき〕

こうきが産まれみんなが幸せになり喜んだからと言ってCちゃんが名前を決めました。

退院をして

母と幸喜が帰って来ました

爺さん婆さん父母は

久しぶりの赤ちゃんとあって幸喜に構いっきりでした。

すると

『シクシク』と泣き声がしてきました。

見てみると

部屋の隅でCちゃんが

体育座りをして泣いてた。

『どうしたの?なんで泣いてるの?』と聞くと

『みんな幸喜ばっかり!

全然あたしの事見てくれない!

あたしはもういらない子なの?

きょうだいなんていらない!

幸喜なんて大嫌いッ!』

と言ってわんわん泣きました。

泣き疲れたのか暫くするとCちゃんは眠ってしまいました。

そして夢をみました。

つかまり立ちをした九ヶ月頃の幸喜がいました。

まだ喋れるはずのない幸喜が

『……お姉ちゃん、ごめんね。

僕のせいで淋しい思いをさせてしまって…。

……でも…もう暫く我慢してよ。お願い。もう少しだけパパママに甘えさせて?

淋しい思いは長くは続かないから。

………………それから…

ぼくに〔幸喜〕って名前つけてくれてありがとう…』

と笑顔で言ってました。

目が覚めました。

生々しい不思議な夢でした

それからも何度か淋しい思いをしたりして

幸喜も首がすわり

寝返りをうつようになり

お座りもでき

順調に成長してます。

そして

つかまり立ちをするようになりました。

大人達は一つ一つの成長に喜んでました。

ところがある日

夜明け前必ず起きていた幸喜が珍しく

母が目覚まし時計の音がなって起きるまで起きなかった。

不思議に思った母は

何気に幸喜の頬を触ったら…………

幸喜は冷たくなってました

乳幼児特有の突然死だった

みんなショックで泣き腫らしてましたが

それに輪をかけて泣いていたCちゃんがいました。

Cちゃんは

ようやくあの時みた夢の意味がわかりました。

Cちゃんは手紙を書きました。

============

〜幸喜へ〜

初めて幸喜が家に来た日

お姉ちゃんは

幸喜の事を大嫌いと言ってしまったけど

嫌いになんて一度もなかったよ。

淋しい思いはしたけど

幸喜がいない生活の方が

何億倍も淋しいよ。

幸喜

産まれかわったらまた

きょうだいになりたい。

だめなお姉ちゃんだったけどごめんね

============

手紙を小さな小さな棺に入れ、そっと手をあわせた。

怖い話投稿:ホラーテラー Rさん  

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