短編2
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畜生観音

友人Kの祖父Rはとある神社の神主で、たまにお祓いをしている。

髪が伸びる人形とか捨てても戻るかんざし等を供養して焚き上げる。

しかし、きちんと祓わないと依り代を無くしたモノが他の物に憑いて大変なのだ、と教えてもらった事もある。

これは、そんな物の中の一つの逸話。

私はRに怖い話をねだった。

するとRは箱を持って帰ってきました。

箱は相当古くみすぼらしい。Rが中身を取り出すと仏像が出て来た。

そしてRは語り出した。

コイツは畜生観音といってな、見ての通りの仏像じゃ。

しかし、材料が頂けない。何かって?刀じゃよ。それも何百人も斬り殺した、の。

付喪神、九十九神とも言うけどな。

あれは百年使われないと恨みで化けると言われとる。つまり魂ってのは百年懸けて、ようやっと一個創られるモンなんじゃ。

じゃがコイツの造り手の呪い師はこう考えた。『もし百人分の怨みを注いだら一年で出来上がるのでは』と。

結論から言うとそれは正しかった。何百人も斬って魂の宿った刀を潰して創られたのがこの畜生観音じゃよ。

この観音様に恨みを吐けば、刀に戻って憎い相手は斬り殺される、ってぇ寸法さね。

コイツを祓うのは骨が折れる。なんせ魂一つに恨みが数百じゃからのう。

結局まだ完全に祓えてないとの事で触らせてもらえなかったが、あの仏像の顔は凄く穏やかでついつい同僚や上司の愚痴が口から出かかったので慌てて飲み込んだ。

この呪い師が何故畜生観音を作ったか、作った後どうなったかはまた別の話

怖い話投稿:ホラーテラー 雷さん  

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