短編2
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古ぼけた看板

あれは15年前の蒸し暑い夏の夜の出来事。

当時高校生だった俺は、学校もろくに行かず友人達とバイクによる暴走行為に明け暮れていた。

そんなある夜、いつものように友人達と峠を走っていると、峠道をそれた脇道の奥で3つの光がフワフワ浮いている。

「何やあれ。」

みんなを呼びバイクを停めて見に行くことにした。

この脇道というのは沼につながっており、その沼は特に心霊現象が起こるなんて類の話は聞いたことがなかった。

その上、こちらは男8人。

怖さなんてない。

とにかくあの光が何なのか確かめたかった。

ふとその光の方から声が聞こえた。

いや、声というより何か騒がしい。

走って近付いてみると、そこには男女7人が一列になり何か棒のような物を引っ張っている。

何をしているのかはすぐわかった。

どうやらグループの1人が沼に落ちたらしい。

すぐさま僕達も救助に参加したが、なかなか引っ張り出せない。

何かすごい力で引きこまれているかのようだ。

落ちた本人もぐったりしている。

15人全員が一丸となってなんとか引き上げた。

幸い落ちた本人も意識を取り戻し、グループに話を聞くと、男女8人で肝試しにきたらしく、何も起こらなかったので、驚かそうとしたら沼にはまったとのことだった。

僕達が見た光もこのグループが持ってきた懐中電灯だったとわかり、一件落着した瞬間、沼に落ちた本人が言った。

「足を掴まれた。」

びっくりしてそいつの足を見たら、人のような人でないような手形が、くっきりと付いていた。

救助はしたものの、これ以上関わるのは良くないと本能が警告した。

後ずさりするかのように僕達はその場を後にした。

その時。

一枚の古ぼけた看板が地面に落ちているのが目に入った。

なぜか僕はそれを拾った。

その看板にはこう書かれていた。

『河童注意』

最後まで読んでくれた方、ありがとう。

怖い話投稿:ホラーテラー たびがらすさん  

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