短編2
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Aー8

いつもの神社で俺はAを待っていた。

気持ちいい日だな。

鳥がさえずりながら俺のそばに来た。

「やあ。何か用かい?」

俺が手を差し伸べると逃げて行った。

…やっぱり俺には無理なんだな。

フッと笑いがこぼれ

そして寂しさがこみあげた。

ぐるぐるの長い髪が俺の視界に入る。

「やあ。待ってたよ」

俺が声かけるとぐるぐるの長い髪は俺の視界から消えた。

俺は必死で後を追う。

嫌だ!

頼むから待ってくれ!

「…おい大丈夫か?」

担任のSが心配そうに俺をのぞきこんでいる。

あれ…?

俺何してんだっけ?

聞けば俺が急に倒れBは慌ててSを呼びに行ったらしい。

記憶が徐々に戻ってきた。

Aはどこだ?

辺りを見回すがどこにも居ない。

頭が痛い。

触るとヌルッとした。

Sはしきりに病院へ行こうと言っている。

たぶん倒れた時に打ったんだろう。

Sには病院に行くと告げ、なんとか納得させた。

俺はその足でAの家に行った。

チャイムを押すが誰も出てこない。

躊躇ったがドアに手をかけると開いた。

中からお香の匂いがした。むせかえる程の匂い。

階段を上がり

Aの部屋の前で名前を呼ぶ。

…返事がない。

ドアを開けるとAが居た。

Aは窓のほうを向き立っている。

ダランと腕を垂らし窓から見える空を見ているようだった。

そしてゆっくり振り返った。

その顔はいつにも増して真っ白でその身体はいつにも増して小さく感じた。

「ごめんね」

そう言いながら俺の胸にもたれて来た。

Aの腕から血が流れている。

「分身に血をあげると願いをひとつ叶えてくれるの」

聞く前にAはそう答え微笑んだ。

俺の分身は触られたせいで力を失ったそうだ。

正直そんなことはどうでもいい。

Aが俺を見上げてクスクス笑う。

いつものAだ。

このままこうして居たいが俺は聞かなければならないことがある。

「…いつからこんな事始めたんだ?」

俺はAの原点を知って言葉を失った。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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