短編2
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携帯電話

携帯電話を修理に出した時の話。

戻ってくるまでの代わりに、少し前の機種を渡された。

少々傷んでいるが仕方がない。

深夜眠っていると着信音が鳴ったので画面を見ると私の知らない女性の名前と携帯番号が表示されていた。

寝ぼけていたので何も考えずに電話に応対する。

『はい…』

「………………」

『どなたですか?』「………………」

『聞こえますか?』「………………」

話にならないので通話を切断して眠りについた。

1時間後に再び着信。同じ人からだ。

マナーモードにするか電源を切るべきだったと後悔しつつ寝ぼけながら応対。

『はい…』

「………………」

『どなたですか?』「………………」

とやりとりをしたが私は携帯片手に持ったまま寝ていた。

朝起きて濃いめに煎れた珈琲を飲んでいると携帯のバッテリーが切れそうなので充電器に差し込む。そこで携帯が通話状態になっていることに気づく。

相手も通話を切断しなかったのかと思い話しかけてみた。

『もしもし?』

「………………」

『イタズラ電話ならいい加減に』

と言ったところで通話を切断された。

着信履歴を確認したら名前も電話番号も表示されていなかった。

通話時間を確認したら深夜から今までの分が表示されている。

着信履歴は存在しない。

発信もしていない。当然削除もしていない。

でも通話時間は記録に残っている。

誤作動という事にして、これ以上考えるのをやめた。

深夜になり着信音が鳴った。

昨夜は知らない女性の名前と携帯番号だけが表示されていたが、今はそれに着信画像が加わっている。

どうやら暗い場所で照明機能を使って撮った女の顔のアップ画だ。

しかし何故こんなに暗いのか。

何故皮膚全体が内出血したような色なのか。

何故無表情なのか。それは死んだ人の表情のようだ。

それでも私は電話に応対した。

『はい…』

「……アンタ誰」

か細い声がしたと思ったら

「何で私の携帯持ってんだよ!!!」

と急に鼓膜が破れそうなほど大声で叫ばれた。

「わかった…私を埋めたのアンタね……私を殺したのアンタね…だから私の携帯もってる…………」今度は冷淡な口調で語りかける。

私は右手で自分の頭と顔を殴りだした。

続きます

怖い話投稿:ホラーテラー Jannuleさん  

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