中編5
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希望

初投稿です。文章力が無く、誤字脱字あると思うので苦手な人は見ないでください。

俺には、好きな人がいる。

片想いだろう。彼女は俺の行動はまったく気にしていない。

ほとんど諦めかけていた。

机に突っ伏していた俺に、友人は一言。

「諦めたいんなら諦めればいい。でも、そこで諦めるっつー事は所詮そんだけの想いだったっつー事だ。」

「そんな想いじゃ、無いだろ?」

ただのベタな一言。

だが、その一言は俺に余るほどの勇気をくれた。

そして、その場で決める。

「俺は…告白するよ…。」

友人は何も言わず、痛いくらいの力で背中を叩いてくれた。

準備はととのった。

その日、偶然校舎を出る時彼女と会った。

…気不味い。俺は自分から話しかけた。

「…今日はこっちなのか?」

「え?あ、うん。今日はこっちなんだ。」

…無言。しかし、時は過ぎてゆく。

目前に校門が見えてきた。

「じゃあ、私はこっちだから…。」

言わなければ。せっかく友人の気持ちが無駄になる。

言わなければ。

「ちょっと待ってくれ!」

「えっ?な、何かなっ?」

なんとか呼び止めれた。

あとは言うだけだ。

たった四文字の気持ち。

「好きです。」と。

…どれほどの時が過ぎただろう。

やっと覚悟した、その時。

「俺は、お前の事が…」

「あっ!もうこんな時間!明日でもいいっ?」

「お、おう…わかった。」

なんて情けないんだ。

彼女はゴメンねーと言いながら去ってゆく。

そして彼女が完全に見えなくなった時、俺はガックリと肩を落とす。

…ハア、情けない。

あの空気なら内容もバレバレだろう。

だが、そんな考えも無駄になる。

目の前が…真っ暗だ…。

担任は…何を言ってるんだ…?

「○○さん(彼女)は…昨日の夕方、帰宅途中事故にあい、道路に飛び出した子供をっ、助けて…、お亡くなりになりました…。」

気が強い女性担任が泣いている…。

お亡くなり?事故?飛び出し?

…しん、だ?

頭が真っ白だ。うまく喋れない。

友人は俺に近寄り、そっと俺の肩に手を置いた。

あの日からちょうど一年。

俺の時は止まったままだ。

しかし、自分自身は確実に悪い方向に進んでいた。

あの日から、酒・タバコはもちろん、ドラッグにまで手を出そうとしていた。

そのせいで、成績はガタ落ち、学校では不良扱い。

様々な病気にもかかりやすくなった。

その日も、俺はいつもの様に教室を出、いつもの様に校舎を出、いつもの様に学校を出ようとしていた。

しかし、門の前でふと立ち止まる。

そう、この場所は一年前、俺が告白しようとした所。

「…ハハ、そう言えば…アイツ…死んだんだっけ?」

抑揚の無い声でそう呟く。

そして、振り返る事無く、再びその場所から歩き出す。

歩き出して数分。もう学校から300mは離れただろう。

頬を伝ったのは、一筋の涙。

その瞬間、俺は学校に向かって走り出した。

何故?

今さら戻っても遅い。

もう彼女はいない。

もう戻ってはこない。

学校まで一分もかからなかった。

着いた校門には、誰もいない。

もう、誰もいない。

俺は泣き崩れた。

恥ずかしいと思わなかった。

ただただ、自分に腹が立った。

あの時。

あの時俺が彼女をもう少し。

もう少しだけ止められたら。

彼女は死ななかったのか。

何の想いも伝えられなかった。

俺は涙が枯れるまで泣いた。

その日、俺は彼女があの日通った道を通って帰っていた。

ただ女々しいだけかもしれない。

俺は無言のまま、歩き続けた。

十分程たったあと、彼女が事故にあった場所に着いた。

道端には花が添えられていた。

それを眺めていた時だった。

子供がつまずき、道路に飛び出た。

運命

と言うものは、基本的には信じないが、この時ばかりは心の中で笑ってしまった。

俺は無我夢中で飛び出した。

目前には車が迫っている。

しかし、その寸前に俺の手が子供に届く。

(ああ、間に合った…)

そう考えた次の瞬間、鈍い音と激痛が俺を襲った。

だんだん意識が薄れてゆく…

視界が狭くなってきた…

でも、まあきっと彼女も褒めてくれんじゃね?

光が失われてゆく、その中でも温かさがあった。

誰かに抱き締められている、すぐにわかった。

力を振り絞って目蓋を少しだけ開いた。

目に映ったのは、今はもういないハズの彼女。

「頑張って。恭弥(俺)なら、きっと大丈夫だから」

優しい声で励ましてくれる。

夢である事はわかっていた。

幻想である事はわかっていた。

それでも、

自分の気持ちを伝えよう。

「俺は、お前の事が好きだ」

彼女は一瞬驚いた様に目を丸くしていたが、すぐに笑顔になった。

目に涙を溜めていた。

「ありがとう…。

私は今、凄く嬉しいです。」

嗚咽まじりの声で語る。

そして、ゆっくりとした動きで、彼女の特徴の羽根つきのヘアピンを俺の手に握らせた。

「私は、恭弥の言ってくれた事、絶対忘れない。

だから、恭弥も忘れないで。」

俺は無言で頷く。

そして、最後に笑って

「ありがとう。」

と言って彼女は消えた。

…ょ……

…ょ…や!!

恭弥!!

俺の意識は覚醒した。

視界には白い壁。

いや、多分天井だ。

「恭弥…よかった…!!」

側から聞こえたのは母親の声。

記憶を照らし合わせた結果、俺がいる所は病院のベッドの上。

側には心配して見守る親族。

すげぇシチュエーションだなオイ…と考えながら、母に俺が助けた子供の事を聞いた。

子供はかすり傷だけで、全然問題無かったらしい。

それよりも皆が驚いたのは俺の方だった。

時速60キロは出ていたであろう車と衝突して、頭蓋骨にヒビと骨折だけである。俺自身も驚いたが、すぐに夢の内容を思い出す。

手には彼女のヘアピンがあった。

自然に笑みと涙が同時に溢れた俺に家族が不思議そうにしていた。

彼女は、俺を守ってくれた。

あれから8年。

俺はちゃんと生きている。

心を入れ替え(タバコは無理だった)、遅れた分を取り戻すため必死に勉学に励んだ。

結果、なんとか高校は卒業し、現在はファッションデザイナーをやっている。

あの時彼女に貰ったヘアピンは、常時付けている。

これを付けていると、彼女が隣にいてくれるような気がするから。

彼女がくれた、

生きる『希望』だから。

怖い話投稿:ホラーテラー ハイハイワロスワロスさん  

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