短編2
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命のカード

仕事の帰り道にカードを拾った。

黒っぽいそのカードには、

(命のカード)

と、白く書かれていた。

家に帰り、そのカードをよく見て見ると、カードの裏にはこんな事が書かれていた。

命のカード

使用上の注意

命のカードは、寿命一年につき一億円と交換出来ます。

命のカードを無くしたり紛失した際は、すみやかに諦めてください。

命のカードを他人に貸したり譲渡することは固く禁じられています。

寿命には限りがあります。

ご寿命は計画的に!

これを読んで、俺は驚いた。

世の中にこんなカードがあるのだろうか…

だが寿命一年で一億は破格だ。

俺なら5年…いや10年くらい寿命を交換するだろう…

次の日、俺は会社を休んで、ダメ元でそのカードを持って不動産屋に出かけた。

「新築のマンションが欲しいんだが、一億くらいの良い物件はないかね?」

不動産屋でこう言うと、目付きの鋭いオッサンがまくし立てるように、物件を紹介してくれた。

そして、いよいよ支払いの話になった。

俺は持ってきた(命のカード)をオッサンに見せて言った。

「支払いは、これでお願いしたいんだが…」

オッサンは俺からカードを受け取ると、マジマジとカードを見て、

「お客様…少々お待ちくださいね…」

そう言って店の奥に入って行った。

俺はドキドキしていた…

多分ダメだろうとは思ってはいたが…

まあダメなら謝って帰ろう…

そんな事を考えていると、オッサンが戻ってきた。

オッサンは俺を睨み付け言った。

「お客様、このカードですが…お客様のご利用になれる額が…六千万しかございません…どうか、ご寿命を大切になさって今日の所はお引き取りください…」

不動産屋から家に帰るまで、俺はいろんな事を考えた。

カードが使える事には驚いたが、それより驚いたのは俺の限度額だ…

六千万て…

俺は、後半年ちょっとしか生きられないのか…

それから俺の暮らしぶりは一変した。

まず酒とタバコを一切止めた。

そして半年に一回人間ドックを受け、体に異常がないか入念に調べた。

何をするにも安心と安全を求め、常に危険を回避するように努めた。

それから三年…

俺はピンピンしている。

まあ…不動産屋に担がれた訳だ…

俺は、財布にしまっておいた(命のカード)を取り出しつぶやいた。

「命のカードじゃなくて、命のガードだな…」と。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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