短編2
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いつかの雨の日に

今日みたいな雨の日は、

あの日のことを思い出す。

その日、雨のせいで

部活がなくなった僕は、

一人で家に向かった。

いつも一緒に帰る友達は屋内の部活で

仕方なく一人で帰ったんだ。

学校で嫌な事があったことと、

雨のじめじめした空気が

僕の気分を落ち込ませていた。

傘を打つ雨の音が一瞬、

静かになった。

数メートル先の路地から

黄色い雨合羽を来た幼い子供が

その子が遊んでいたであろう

あらぬ方向へ飛んでいってしまった

ゴムボールを追いかけ

道路へ飛び出した。

前方からは

気づいていないのか

スピードを全く緩めない車

────刹那、

僕は目を伏せた

音で車は離れてゆくことがわかった

轢き逃げ?!

なんて車だ!!

それよりも子供は?

伏せた目を開ける

そこには、

こちらを悲しそうな目で見る

先ほどの子供立っていた。

なぜ?

無事だったのか──。

突然

心の中に、自分のモノではない感情が溢れ出した

痛い、

苦しい、

いや、

痛かった。

苦しかった。

子供は、悲しげな目で見つめながら、

消えた。

気付けば子供が飛び出した路地の電信柱には

花束が添えられていた。

あの子供は

僕に何をしてほしかったのか

いや、

いや、

僕は、

この子を助けることが出来たはずだ

飛び出したこの子を

体当たりでもなんでもいいから

助けるべきだった。

さっき、僕には

子供助けることが出来たはずだった

僕は動けなかった

目を伏せてしまった

ごめんね

ごめんね

痛かったね

苦しかったね

ごめんね

ごめんね

何故か涙が止まらない

頬を伝うモノが雨なのか涙なのか

僕は道端で声を上げて泣いていた

激しくなった雨の音で

僕の声はかき消されていた

あの子供は僕に

助けてほしかったのか?

わからない

何故僕だったのか

何故僕を選んだのか

何にせよ僕には

なにもできなかった。

あれから雨の日には

あの日のことを思い出す

今年も僕は

あの路地に花を添えにいく。

怖い話投稿:ホラーテラー 沖縄そばさん  

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