暑苦しさと息苦しさで目が覚めた。
時計は午前4時を示している。
変な時間に目が覚めたものだ、と思った。
ひどく喉が渇いている事に気が付き、豆電球の光りを頼りに冷蔵庫へ向った。
友人達が「なげー!」と感嘆する自慢の廊下に出た時だった。
心臓が止まりそうになった。
玄関の前に誰かいる。
最初は泥棒だ、と思った。
僕に気が付いたのか、ゆっくりと長い廊下を歩いて来る。
しかし、すぐにその誰かは人間ではないと言う事に気が付いた。
足音がしないのだ。
ヤバい、そう思い逃げようとするが体が動かない。
金縛りだ。
体中から汗が吹き出し震えているのがわかる。
部屋から漏れる豆電球の光りで段々と姿が見えてくる。
そして、顔まで見えるようになった時、気を失いそうになった。
それは顔の半分が焼けただれた女性だった。
彼女は薄ら笑いを浮かべ、徐々に距離を詰めて来る。
叫びたいのに声が出ない。恐怖で涙が出てくる。僕の人生はここで終わりなのか、そんな事まで考えていたその時だった。
「キャーーー!」
悲鳴が聞こえた。
なにが起ったかさっぱり分からず唖然としていたが、よく聞いてみるとその悲鳴は彼女が発したものだった。
彼女は両手で顔を覆い悶えている。
そして、体を翻し元来た道を走って闇の中へ消えてしまった。
僕は全裸だった。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話