短編2
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放火

あまり怖くないですが誰かに伝えたく、初投稿させて頂きます。以下は実話になる為、内容を一部伏せております。

私が小学生の頃、深夜に近所宅でほぼ全焼となる火事がありました。

その家には、隣のクラスの男の子(A)の他に、ご両親と弟、祖父母と叔母の七人が暮らしていましたが、火事により弟さんと叔母さん(重体)以外は皆亡くなりました。

当時の新聞にも大きく取り上げられており、それによると消防士が駆けつけた時にはかなり火がまわっていて、A君が二階の窓から「熱いよ~、熱いよ~」と泣き叫ぶも、ついに助けることができなかったそうです。

翌朝学校に行くと既に火事の話題で持ちきりでした。朝礼で担任からA君やご家族が亡くなった話を聞いた後、皆で泣きながら黙祷をしました。

ここで話が変わるのですが、火事になる日の夕方、私はクラスの女子(BとC)の三人で廊下の掃除をしていました。Bと私は仲が良かったのですが、Cとは上辺だけの付き合いをしていました。というのもCは陰口で友達の仲を裂いたり、クラスメートのカバンから盗みをし、万引きや恐喝を行い、素知らぬ顔で平然と嘘をつくような子だったからです。母子家庭で母親が水商売で不在なため、深夜に出歩いたり、男の子に対しても早熟な所がありました。とにかく皆から嫌われ怖がられていました。

そして掃除をしていると、A君がちょうど私達の前を通り過ぎました。その時、突然CがA君を睨み付けながら「あいつ死ね!ムカつくんだよ、マジで死ねよ。」などと罵っていました。理由はわかりません。私はA君と話したことはありませんが、彼は大人しく優しそうな印象で悪評は聞いたことがありませんでした。Bと私は呆れて顔を見合わせました。

そうしたエピソードがあり、翌朝火事の事実を知った時とても寒気がしました。そしてCの方に目をやると、目が泳いでいるというか、軽く青ざめているというか、とにかく悲しみではないなんとも言えない顔をしていました。後日、出火原因は放火とわかりました。

現在A君の家の跡地はマンションが建っています。周辺もかなり変わり火事のことも知らない住民がほとんどです。

私は火災現場を通る度になんとも言えない寂しさを感じ、それと同時にCの火事の日の顔も思い出されました。なぜか忘れられないのです。彼女が時折見せる虚ろな目に何かどす黒いものを感じたのかもしれません。

放火の犯人は未だ不明です。

駄文失礼致しました。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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