短編2
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自分勝手

僕には、好きな女がいた。笑顔が素敵な女だった。僕は、どうしても欲しかった。僕は、人の心を思い通りにする薬を研究し作った。女を喫茶店に呼び出し薬を女の飲み物に混ぜた。女は、その日から僕のものになった。

だが、女は、笑顔を見せてくれなかった。僕が笑えと言っても女は頷くだけだった。女は人形のように無表情になった。僕が好きだった女は、僕のせいでまったくの別人になっていた。

僕は、自分のしたことを後悔した。僕は、女と死ぬことにした。崖の上から女と飛び降りることにした。 女と手を繋いで崖の上に立った。僕が女の手を引いて飛び降りようとした瞬間に女は、繋いだ手を振りほどき1人で飛び降りた。女は落ちていく時に、僕の顔を見て泣いていた。

僕は、怖くなって逃げた。僕は、外に出ずに家に引きこもった。女が死んで3ヶ月が経ったころ僕の家に手紙が届いた。僕は、差出人の名前に驚いた。女の名前だった。手紙には、『誕生日おめでとう。プレゼントと伝えたいことがあるから、〇〇時に喫茶店に来て』と書いてあった。

僕は、すぐに喫茶店に走った。だが、待ち合わせの時間になっても女は来なかった。僕は、女がいるかもしれないと思い女の家に行った。インターホンを鳴らすと女の母親が出てきた。女はいないらしい。母親が、女の代わりにあの手紙をポストに入れたとのことだった。

母親は、女が書きためていた、僕宛ての手紙を何通か渡してくれた。僕は、家に帰りその手紙を読んだ。内容は全て僕への想いだった。僕は、自分のしたことが全て無意味だったことを知り泣いた。同時に彼女への罪の意識で押しつぶされそうになった。僕は、台所にあった包丁を何度も意識が無くなるまで自分の体に突き刺した。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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