短編2
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死んだように生きる男

この部屋でひきこもり生活を始めてから何年になるかな?

中学時代、自己主張せずおとなしい俺はイジメの対象だった。時折学校を休むこともあったが、厳格な親は俺を不登校児にはさせてくれなかった。

中学は死んだように通い、中学卒業後はあまり偏差値が高くない高校へと進学した。その学校は不良と呼ばれる学生も多く、数少ない友だちはできたが中学時代と同じく死んだように過ごした。

高校を卒業後は公務員として働いた。上下関係が厳しく男ばかりの職場。ここでは同僚にたかられることが多く、体力もない俺はほどなくして公務員を辞めた。

公務員を辞めたあとは実家を離れ、企業で働いた。気の弱い俺はここでもお金をせびられることがあり、借金を重ね心配した親に実家へと連れ戻されることとなる。

実家へ戻ると親の勧める地元の工場へ就職した。俺が地元に戻ったことを知ると、またお金をせびられる日が続いた。親は友だちと仲良くしていると思っていたようだが。

お金がなくなった俺はまた借金をすることになった。精神的に追い詰められ、胃潰瘍で入院することになった。

退院後も職場復帰するが同じことの繰り返しで、俺はいつしか自室にひきこもるようになった。

定年した親父はいつもいて、部屋から出ると「働け!」と罵られるのでトイレへ行くのも風呂へ入るのも家族が寝静まってから。

食事は母が部屋へ持って来てくれたりするが、母が旅行などで家にいないときは食事をとることはできなかった。

つづく

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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