短編2
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田舎のおばあちゃん 1

一時期私は『田舎』に住んでいました。

3歳から5歳位までの間の話なので、記憶が曖昧なのですが、

田舎とは言っても、

車で少し行けば、

大きな町があったので、

『ド田舎』とまではいかないと思います。

母の病気の療養で、

古めの平屋に、私、母そしておばあちゃんの3人で住み、

仕事が忙しい父は元住んでいた家に一人で暮らし、月1、2回位顔をみにくる程度でした。

病気の母と仕事の忙しい父が、

まだ幼い私の面倒を見るのは難しく、

私の面倒は、おばあちゃんと、近所に住んでいた親戚の叔母さんが見てくれていました。

幼い頃の私は叔母さん曰く、

「聞き分けがよく、一人遊びが上手で、やんちゃだけれど、手のかからないとてもいい子」

だったそうです。

やんちゃなのは性格なので仕方がないとして…。

手のかからない、いい子だったのは、

おばあちゃんのお陰だったと思います。

保育園(幼稚園?)から帰ると、

おばあちゃんはいつも私と遊んでくれました。

『ド田舎』ではないとはいえ、公園等はありませんでしたが

自然はいっぱいです。

木登り、川や池等での水遊び、裏の林みたいな所の探検。

覚えている限り、いつも外で遊んでいました。

おばあちゃんはいつもニコニコと優しく、

高い木に登っては、

「すごいねぇ!」

と褒めてくれ、

「水の中に魚がいるよ!」

としわしわの指で水面を指し、私は必死に目で魚の陰を追いかけていました。

春にはつくし等の山菜をおばあちゃんに習って採って母親を喜ばせたり、

夜には私が寝付くまでじっと私を見てくれてました。

夜中に星を見に出掛けたこともありました。

幼い頃の記憶なので、所々にしか覚えていませんが、

私はおばあちゃんが大好きで、彼女がいてくれたお陰で淋しい思いをせずにすんだのだと思います。

しかし、私が5歳になったばかりの頃、

元住んでいた家に引っ越しをする事になりました。

おばあちゃんは田舎に残りました。

私はおばあちゃんと離れるのがイヤで、

引っ越しの日は大泣きして大変だったと聞いています。

しかし子供の適応力は凄いもので、

引っ越し後、あっという間に新しい生活にもなれ、

おばあちゃんの事など気にしなくなります。

ここまでだと、

なんともないただの思い出話ですが、

長くなったので一旦切ります。

続く

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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