一人で弁当を食べているS田君

短編2
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一人で弁当を食べているS田君

私が高校生の頃の話です。

当時、いつも一人で弁当を食べているクラスメイトがいました。

名前はS田君と言います。(下の名前は大輔だった気がします。)

彼は授業中も休み時間もいつも一人ぼっちでした。

と言うより彼が誰かと話している所を見た事がありません。

先生とすら話している所を見た事が無いのです。

更に、授業中も先生に当てられる様な事も無かったので、彼の声を聞いた記憶がありません。

かと言って、クラスのヤンキー達にいじめられている事もありませんでした。

そして先日、地元の居酒屋で同窓会があり出席して来ました。

卒業して8年経ちますが、男共はそんなに変わってもいなく、女性陣も全然わからない子はいませんでした。

しかし、あのS田君は出席していない様だったので、幹事で親友でもあるDにS田君の事を聞いてみました。

しかしDからの答えは、

「S田君って誰?」

でした。

確かに目立つタイプの子では無かったので覚えていないもんかと思いました。

他の友人に聞いても答えは同じで、

「S田君?そんな奴いたっけ?」

でした。

意地になった私は参加者全員に聞きましたが、S田君を覚えていた人はいませんでした。

おかしいのは、担任のY崎先生すら彼の存在を知らないと言った事です。

それから実家に帰った私は、引き出しの奥から卒業アルバムを引っ張りだして確認する事になりました。

S田君はいませんでした。

彼をクラスメイトとして認識していた私の記憶違いで、別のクラスとの勘違いかと学年全員見ましたが、やはりS田君はいませんでした。

彼の存在と私の記憶は、一体何なのでしょう?

怖い話投稿:ホラーテラー 現役探偵さん  

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