短編2
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便器の中の産声

この前、女がコンビニのトイレで赤ちゃんを産んで、赤ちゃんを置いてそのまま逃げていったというニュースを聞いた。

酷いムチャクチャな話だと思っていたら、何と私の母親の実家(昔ながらの酒屋をやっている)でも、昔似たようなことがあったようだ。そして第一発見者はまだ小学生だった私の母。おしっこがしたくなってトイレに行ったら前のお客さんがちっとも出てこない。不審に思って大人を呼んできて無理やりトイレを空けてみたら・・。

壁から床にかけて血が迸っている。女が泡を吹いて床にうっつぶして倒れている。そして水洗トイレの便宜の中に産まれたての赤ん坊がプカプカ浮いていた・・。

どうも母親は知的障害のある女性で、今の今まで妊娠していることに全く気づかず、もともと彼女が太っていて上手くコミュニケーションを取れないせいか、周囲もなぜか気づかなかったようだ。彼女はうんちをするような気持ちで赤ん坊を産んだらしい。

店は大騒動になって、すぐに産婆さんやら警察やらを呼んで何とか事態は収集したらしい。

母親も手当てされ、赤ん坊も保護されて何とか一命をとりとめた。しかし意識の戻った母親に問うたところ、父親が誰かわからない。赤ん坊を育てるか問うたら即刻「いらない」との一言。赤ん坊は養子に出されたようだが、養子先の夫婦は離婚し、子どもは手のつけられない不良になったとか何とか。

・・私の母はかなりトラウマになったらしい。私の母は父と結婚して子どもを三人設け幸せな家庭を築いたが、最所の子は出血がひどく、その長男は重い知的障害を持って産まれてきた・・ 。

いろいろな事が哀れで不条理で背筋が寒くなるが、障害があろうと健康であろうと、子どもは望まれて産まれ、愛されて見守られて育ち、まっとうな倫理観を身につけて成長するべきだと思う。

もしトイレで産んで水洗で流していたり、ぼっとん便所だったりしたら・・赤ん坊は確実に死んでいただろう。小さな命は排泄物ではない。

怖い話投稿:ホラーテラー イミナさん  

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