短編2
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トンネル

父から聞いた話です。

私と兄がまだ幼いころ、ある団地に家族で住んでいたそうです。

まだ父・母は若かったのでお金がなく、休日には私と兄を連れて団地周辺などを散歩して暇を潰していたそうです。(母はパート)

そんなある時の休日、父はいつも同じ場所ばかりじゃ飽きるだろうと思い、私と兄を連れて初めて近くの川に行くことにしました。

川に行くために私と兄の手を引いてしばらく歩いていると、トンネルが見えてきたそうです。

薄暗く、短いトンネルでトンネルの奥から、滝のような音が聞こえていて、トンネルを抜けて右手らへんにお地蔵さんがピラミッド上に30体ほどならべてありました。

普通の人なら気味悪がって行かないと思いますが、当時の父には霊感がまったくなく、恐怖体験もしていなかったので、「薄暗いが、そんなに長いトンネルじゃないから大丈夫だろう。」と思いトンネルに入りました。

するとトンネルに入ってすぐ、急な頭痛に襲われて体がしびれ、目が霞んできたそうです。

「これは何か分からないけどヤバイ!!」そう思って父は、先にトンネル向こうに走っていった私と兄を急いで呼び戻し、駆け足でその場から家に逃げ帰ったそうです。

後日、同じ団地に住む同僚に父はこの話をしたところ、あの場所は地元では有名な心霊スポットで地元の人はめったに近づかないということを聞いたそうです。

また、父がピラミッドのように積まれた30体ほどのお地蔵さんが不気味だったというと同僚さんは驚いてこう言ったそうです。

『・・・確かに地蔵はあるけど、3体しかないよ』

怖い話投稿:ホラーテラー 少女Aさん  

Concrete
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