短編2
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相殺3

とっさに身を屈めて幸い怪我人はいませんでした。

私はカメラ持参で写真を撮りながら歩いていましたが、この現象が起きてからシャッターが降りなくなりました。

それでも私は古い電球に罅が入っていたのが原因で割れた。カメラもピントが合わずにシャッターが降りなかったのだと思っていました。

すると…パリンッ…パリンッ…ガシャン!!と割れる音が鳴ります。

Aの友人達は私を連れて一階の調理場に走りました。

そこにはテレビで観た光景が。

彼らが置いた食器が次々とテーブルから落ちて割れています。

呆気にとられていると…バン…バンバンバンッ!!…と食器棚が開け閉めを繰り返し始めた。

すると中から勢いよく皿が飛び出し、そのうち数枚が私達目掛けて飛んできました。

私達は必死で屋敷の外に出ましたが、全員が怪我をしました。

私は顔から足に数ヶ所の切り傷と腕に青あざができ、Aの友人達も同じように怪我を負い、1人は皿が頭に当たり、頭皮が皿の破片で切れて出血していました。車に戻ると救急箱を取り出し、全員で応急措置をした。

さぞテンションが下がってると思いきや、私以外は全員興奮冷め止まない状況で怪我を全く気にせず語り合っています。

私も彼らの陽気な雰囲気に安堵してホテル近くまで送ってもらい、コンビニに寄って買い物をしてホテルまで歩いていました。

信号待ちをしている時、デジカメに何か写っていないか確認をしていると調理場で撮った写真の冷蔵庫に赤い文字で

“Jap”と大きく書かれていて、灰色の異様に長い指と爪がうっすらと表面に浮かび上がっていました。

誰かの視線を感じたので顔を上げると、向こう側で信号待ちしている数人のうち1人の男性が私をじっと睨みつけているように見えます。

私は気のせいだと思って歩き出しました。

しかし男性は睨みつけながら私に向かって歩いてきます。

ぶつかるスレスレまで近づいて、

“にやっ”と半口を開けると、すれ違う私の耳元で

『Ja~p』と囁いたのです。

初めて心底怖いと感じて金縛りのように体が固まって立ち止まってしまいました。

震えながら懸命に後ろを振り向くと、男性の去っていく後ろ姿。

すると左回りに180度首を動かし、顔が背中に向くとじっと私を見つめました。他にも通行人がいるのに誰もその様子に気づいていません。

私は嫌な汗が流れるのを感じながら全速力でホテルへ走りました。

怖い話投稿:ホラーテラー Jannuleさん  

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