短編2
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相殺4

部屋に戻るとAに電話しようと受話器を取りますが電話が機能していません。

私はアメリカを訪れる前々日の深夜に、日本で友人達と心霊サイトで見つけた有名な心霊スポットの廃病院に行ってから体調が凄く悪くなっていました。

遊び半分で絶対に行かない方がいいとか、どうなっても知りませんよという書き込みが多発していた場所だった。

御祓いに行くように友人達から言われていたのだが帰国してからと思い、とにかくその場しのぎの素人の浅知恵で買っておいた粗塩を取り出しました。

急いで体に塩をかけ、ドアの前に盛塩しベッドを囲うように足元に塩をまきます。

するとドアをドンドンドンドンッ!!!と激しく叩かれながらドアノブをガチャガチャ強く回されています。

私はベッドの上で震えながら、フロントに助けを呼ぼうと再度受話器を取りますがやはり機能していません。

すると受話器から、『Ja~p…Ja~p…』とあの男性の声が聞こえ、慌てて受話器を戻しました。

私は窓を開けて、助けを呼ぼうとカーテンに手を伸ばすと、キュィイ~と何かが窓を擦る音が。

しかし慌てていた私はカーテンを開けてしまいました。

そこには窓の一部が曇って“Jap”の文字が浮き出ています。

もうわけがわからなくなってベッドでうずくまり、両耳をふさいでいました。

あるときピタッと音が止みます。

恐る恐る起き上がり時計を見ると深夜2時半になっていました。

疲れと安堵から激しい睡魔に襲われて眠ります。

突然でした。

……ドンッ!!……と何かが勢いよく乗ったのかベッドが大きく揺れます。

驚いて目を開けると真っ赤に血走った目をしたあの男の顔が私の目の前にあり、心臓が止まるかと思うほどドキッ!!とすると異様に長く伸びて先端が尖った爪で私の首を圧迫してきました。

こちらが少しでも力を付加すれば爪は簡単に、しかも一瞬にして私の首を貫通してしまう状況です。息すらできないでもうダメだと思った時、眼帯をして私に強い殺意を抱いていると感じざるを得ないほど鬼の形相をした女の顔がパッと脳裏に浮かんだ。

するとふっと相手の手が私の首から離れました。

私は意識が朦朧としながら過呼吸で嗚咽しても酸素を懸命に取り入れます。

涙目になりながら男を見ると、両手で頭を押さえて苦悶の表情をしながら

ウォォオオオ!!!と鼓膜が痛くなるほどの大声で絶叫しています。

怖い話投稿:ホラーテラー Jannuleさん  

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