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カナダマニトバ州、カナダの南端に位置している南北に縦長の州で南はアメリカ合衆国のミネソタ州、ノースダコタ州と隣接している。州都であるウィニペグには州の人口の半数以上が集まっており、その他の地域は自然豊かなところである。カナダのへそと言われるほど巨大なプレーリーと呼ばれる温帯草原地帯が広がっている。そのマニトバ州には3つの巨大な湖がある。ウィニペグ湖、ウィニペゴシス湖、マニトバ湖の3つである。ネルソン川からハドソン湾へとミスが流れるこれらの湖は、水はけが悪くて蚊の発生に悩まされるなどあまりよい土地ではないと言われる。
これらの湖のひとつ、ウィニペゴシス湖には、さらに巨大な怪物が住んでいるという話がある。ウィニペゴシス湖とは、現地の言葉で「少ない泥水」という意味である。少ないと形容されてはいるが、この湖はカナダでは11番目の大きさを誇っていて5370平方キロメートルである。州都のウィニペグから300キロほど離れたところに位置している。そして、ここに住んでいるとされているのが「ウィニボコ」と呼ばれる水棲性の怪物だ。この怪物の姿は昔から語り継がれていて、その姿は細長く蛇のようであると言われている。また、体長はメートルを超えるとされていてとても巨大な生物である。この「ウィニボコ」だが、現代に至までにそれほど大きな目撃情報があった訳ではない。カナダにいるとされるほかのUMAに比べると影の薄い存在であった。
しかし、1930年代に「ウィニボコ」の存在を確定づけるような証拠が見つかったことで世界的に有名になった。それは何かの巨大な脊椎骨であった。発見したのはオスカー・フレデリクソンという人物で湖の湖岸を歩いていたときにたまたま巨大な動物の脊椎骨を見つけた。彼は、噂の「ウィニボコ」の骨ではないかと考えてすぐに調査に出そうとしたのだが、運悪く保管していた倉庫が火事にあったため損失してしまった。仕方がなく彼は複製品を作り、調査を依頼したのである。調査を請け負ったのはマニトバ州大学の博士であるジェームズ・マックロード氏であった。彼はもともと「ウィニボコ」の存在に興味を持っており、独自に調査を進めていたのであった。そして、彼はオスカーが持ち寄った脊椎骨の複製を調査することとなった。彼は木でできたその複製品を一目見て大変驚いたという。その姿は、400万年前に滅びたとされているクジラに似ているほ乳類の化石と酷似していたのだ。
現在のところ複製品から調べられるのはここまでとなっており、具体的にどの動物なのかなどの断定には至っていない。また、調査できたのはあくまで複製品であり、本物の骨を調べられた訳ではないため果たしてどれほど正確なのかもわかっていない。古代生物の生き残り説や、動物の突然変異説などが語られているがそれを決定づける証拠は今のところ何もない状態である。
現在に至るまで目撃談が少ないことは事実であり、1930年代の脊椎骨の発見以外めぼしい証拠は何も残っていないUMAである。仮にその脊椎骨が本物であったとすれば、この怪物の存在の可能性は一気にあがるが、偽物であったとするならば存在の可能性は少ないと考えられるだろう。どちらにせよ、今まで謎のままである。