ワイルドマン(ヴィルダーマン、ウォーモセルバティコ)

ワイルドマン(ヴィルダーマン、ウォーモセルバティコ)

ワイルドマンとは、フリーのフォトグラーファー・フレジェが撮影した民俗伝承につたわる未確認生物(UMA)をもした仮装を行う人々のこと、欧州の獣人と呼ばれるかれらを撮影した本の事を指す。

詩的かつ人類学的な視点から写真撮影を行うフリーのフォトグラファー シャルル・フレジェがこれらの作品を纏めた本 『WILDER MANN(ワイルドマン) 欧州の獣人 ー 仮装する原始の名残』にこれら欧州の獣人を模した奇妙な格好のフォトグラフが纏められている。

ヨーロッパ各地の村では冬から春にかけて死と復活(再生)をテーマとする民間行事が行なわれるが、そこに登場してくる山羊、熊、鹿などの動物を模した仮面、衣裳を身に着けた者たちが「WILDER MANN」なのだ。

「ワイルドマン」とは、ドイツ語では「ヴィルダーマン」、フランス語では「オム・ソヴァージュ」)と呼ばれ、仮面を被ったり黒く塗りつぶして顔を隠し、動物の毛皮や植物でできた装束をまとい、木の枝切れやこん棒のような武器を手にしている、ミステリアスな存在で今日も冬の間ヨーロッパ全土で行われている伝統的な祝祭の儀式に登場する。 

有名なワイルドマンといえば、悪魔の儀式として登場するバフォメットであろう。
山羊の仮面をかぶった姿で登場する非常に禍々しいワイルドマンだが、この儀式事態がもとは農作物の実りを祝う祭りであったため、悪魔とされたのはつい最近の事なのだ。

また、その他にも多数のワイルドマンがヨーロッパにはいる。
西洋のなまはげと呼ばれることもあるオーストラリアの“クランプス”
色とりどりのボロを着たポーランドの“マチヌラ”
かつてはドイツ全土の田舎で見られたワラ男やワラの熊
ルーマニアに広まる伝統的な仮面劇に登場するカラフルな布をまとって山羊など。
ワイルドマンは人間に似たもの、動物の仮面をつけたもの、仮装する動物など、種類によって役割や儀式の意味するところが違うのだが、そんなワイルドマンがおよそ約160種類以上存在するというのだから、ヨーロッパの土俗的文化はかなり多様性に富んでいるといえるだろう。

これらワイルドマンの存在は、日本における秋田の民俗伝承上のUMA「なまはげ」に相当する。
東北地方や沖縄の民間行事や宗教儀礼に登場する「カミ」や「オニ」たちにそっくりの仮装をしている場合が多いからであろう。

動物の毛皮や植物で作られた装束、骨のアクセサリーや頭につけた角など、写真の数々に登場するワイルドマンたち。その姿は、私たちの心の奥の何かに語りかけ、人間存在の希望や不安、衝動に訴えかける。

 
 現代のヨーロッパ人にとっては伝統的な祭りの目的は娯楽であり、行為の象徴的な意義は薄れてしまっているが、シャルル・フレジェが捉えた美しい写真に映し出されるワイルドマンの姿は、人外のものに対する畏怖の念と、本来的な神聖さに満ちている。 そして、それらはネット技術の進歩により、バーチャルな世界に常にアクセスしている現代に生きる我々が、心の奥底に持っている野生の存在に気付かせてくれる筈だ。

 また本書には 「ワイルドマンとヨーロッパにおける仮面の伝統」という寄稿も掲載されているので、現代における原始の名残と伝統の意味を考察する上で役に立つだろう。

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