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ウルフウーマンとは、メキシコのユカタン州に出没するといわれる獣人型UMAである。

その姿は、全身毛におおわれた獣じみた姿で、恐ろしく凶暴であるとされる。

近年では、メキシコのユカタン州で目撃されたというウルフウーマン。
七面鳥などの家畜を食い荒らす深刻な被害をもたらしており、銃で武装した地元民約100人が討伐に動き出したという噂が真しやかに出回っている。

しかし、このほかに共通している噂が少ないのも、このウルフーウマンの特徴。

南米やアメリカではゴートマンと同じように都市伝説の類だと目されている。

しかし、このウルフーマンに関する文献をひもとくと、かなり衝撃的な事実がいくつも見つかる。

1845年、メキシコのデビルズリバーの近くで、ある少年がヤギを襲っているメキシコオオカミの群の中に、10歳前後の女の子がいることを目撃した。

それから1年も経たない内に、サンフェリペでメキシコ人女性が2頭の大きなオオカミと女の子が殺したばかりのヤギをむさぼっているのを発見したが、女の子は四つ足で逃げはじめ、やがて二本足で走って逃げ去った。

捜索3日後、散々暴れた末、女の子はハンターに取り押さえられる。
近くの牧場の納屋に連れて行かれた直後、彼女は遠吠えのような声をあげ始めた。やがて数多くのオオカミの群れが現れて牧場の家畜を襲いはじめたのである。
驚いたハンター達が銃で応戦している最中、女の子は混乱に乗じて逃げてしまった。[1]

それから数年後、1852年のエルパソで、住民が川の砂州で2匹のオオカミの子に授乳している少女が目撃されたが、その後、すぐにオオカミを連れて逃げてしまった。それを最後に、彼女の消息は不明なままだ。

彼女は1835年5月に、デビルリバーで産まれたデント夫婦)の子と推測されている。夫婦は不慮の事故で亡くなり、娘はオオカミに襲われて死亡したとされていた。[1]

また、1834年にメキシコで生まれたとされているジュリアは、成長するとともに顔は厚い毛で 覆われ、分厚い唇、広く扁平な鼻、巨大な耳といった顔面畸形化が進んでいた。

後に、稀 な遺伝的障害である先天性終毛性多毛症と歯肉増殖症の常染色体優性症候群であった可能性が高いと診断されている。

1854年に「驚異の間の子、すなわち熊女」というキャッチフレーズのもと、アメリカを巡業することになる。1857年にはイギリスの首都・ロンドンで「得体の知れぬ存在」として紹介され、こ の頃ジュリアの新しい興行主となったセオドア・レント氏は、多くの日刊新聞に広告を打ち、彼女の魅力を謳ったという。
彼女はその見かけだけが「異常」ということだけで、性格は非常に社交的で穏やかで、 声は甘く、趣味は音楽とダンス。母国語の他にも英語やスペイン語を操り、家事も得意だ ったようだ。
博物学者で彼女と親しく歓談したことのあるフランク・バックランド氏も、「額に生える毛髪の量、及びその黒い顎髭に関しては、まことに恐るべきものである。だが彼女の身 体は、非常に美しくまた優雅で、その小さな足と形の良い踝は、と相俟って、完璧であった。」と随筆に残している。興行主のレント氏も、「模範的な畸形者、観衆の前できち んと振る舞うことのできる、躾の行き届いた怪物」と見倣わしていたようだ。

このように、メキシコには数々の狼と女にまつわる歴史上の事実が存在する。

これらの出来事が多くの人を介することによって、都市伝説となり、『ウルフウーマン』というUMAを生み出したのだろう。