cover

●トランコの生態

 南アフリカの海岸近くで目撃された巨大UMAがトランコである。全長は15メートルもあり、20センチメートルもある長い毛で全身が覆われている。尾と首が長いという特徴を持っている。

●トランコの目撃談、正体

 1922年の南アフリカの海岸付近で、謎の生物が2頭のシャチの激しく戦っているところを、海岸にいたたくさんの人が目撃した。その生物は3時間もの戦いに敗れて、死体が砂浜に打ち上げられたという。長い首と思われる部分の先には頭部がなく、頭部はシャチに食いちぎられたのか、もしくは首ではなく鼻のような器官だったのかもしれないと言われている。その部分は象の鼻のように見えたため、象の鼻(trunk)からトランコという名前がついた。

 鼻のような器官の長さは1.5メートルほどで、直径は30センチメートル。その他の特徴としてはアザラシに似た大きなヒレと、ロブスターに似た形状の3メートルほどの尾を持っていたそうだ。

 海岸に異形の巨大生物の死体が打ち上げられることは、現代でもしばしばある。しかしその多くは、腐敗して形が変わったクジラなどの死体であることが多い。しかしこのトランコは、シャチと戦っているところが目撃されているため、腐敗による変形などはなく、最初からそのような奇妙な姿をしていたのだと考えられる。

 しかしこの死体はあまりにも奇妙だったため、正式な調査は行なわれず、漂着したままの姿で10日間放置され、その後波にさらわれてきえてしまったという。

 トランコの正体については「グロブスター説」「未知の生物説」が考えられる。

 グロブスターとは、海岸に漂着する謎の肉塊のことであり、世界中の海岸で目撃されている。大きさは10メートルを超えることもあり、全身は毛のようなものに覆われていたり、突起があったりする。一説にはクジラの死骸で表皮が乖離し、筋繊維が露出したことから毛に覆われているように見えるのではないかと言われる。

 しかし正体がグロブスターだとすると、実際に目撃されたシャチと戦っている姿についての説明がつかない。グロブスターにシャチが体当たりして遊んでいたところが戦っているように見えたとという説もあるが、シャチが体力を消耗する必要のないことをすることは考えづらい。

 これほどのサイズの生物はクジラなどしかいないが、長い鼻のような器官や毛のことを考えるとやはり適合しない。グロブスターがクジラの死骸だという説を肯定しても、筋繊維が露出して毛のように見えたり、腐敗して奇妙な形に変形したり、ということは、トランコにはあり得ない。生きている姿がその日のうちに目撃され、その後すぐに腐敗したとは考えられないからだ。

 やはり未知の生物として考えるのが妥当ではないだろうか。この奇妙な形状は、既存のどの生物と比較してもあてはまらない。未知の海洋生物か、どこか陸で生活していたトランコが海に出たときに襲われたのかもしれない。トランコが目撃されたのはこの一度きりだったため、正体は今では闇の中となってしまった。しかしインド洋では象に似た頭部を持ったUMAが目撃されており、もしかしたらトランコと同じ生物がいるのかもしれない。今後、調査が行われてトランコの正体が明らかになることもあるかもしれない。