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南アフリカ共和国、アパルトヘイト政策で有名なこの国に怪物が住んでいるといううわさがある。それは、南アフリカ共和国の東部、クワズールナタール州の都市ピーターマリッツバーグという古都として知られている都市から北西に25キロメートルほどいったところにあるホーウィック、そこにとても景色が美しいことで有名なホーウィック滝という滝がある。ウムゲニ川にかかる落差約95メートルのその滝に世界を驚かせるような怪物が住んでいると言われているのだ。その姿は、細長いうなぎか蛇のようで滝からするっと顔を出すことがあるという。その姿はおぞましく地元では伝説の怪物インカニヤンバとして知られていた。
この怪物、インカニヤンバは肉食性で、群れをなして行動していると言われている。また特徴として、この怪物は夏になるととたんに目撃情報がなくなることが挙げられる。その原因としては、インカニヤンバが移動性の生物で夏の暑い季節はほかの地に移動しているのではないかと考えられている。実際に、夏場にほかの川で目撃情報が挙げられている。
この怪物はもともとその地方でのみ知られる存在であった。それがなぜ世界に知れ渡ったのかそれにはある事件が関わっている。1995年今から20年ほど前のある日、アイルランドからホーウィック滝を観光に訪れていたボブ・ティーニー氏は、滝のそばで気持ちよく日光浴を行っていた。そのとき、何か巨大な細長い生物が滝から顔をのぞかせたのである。大きな水音をたてながら現れたその生き物は頭の部分のみでも4メートルほどの大きさであったという。その怪物はしばらく顔をのぞかせていたがやがて水の底に戻っていった。また、その後滝の周辺を調べていた彼はその卵のようなものを発見した。それを持ち帰り大学で調べてもらったところ、恐竜のようなものの卵だと判断されたそうだ。また、その際撮った写真も持ち帰っていた。そしてそれがメディアに取り上げられたことでこの怪物の存在が知られるところとなったのである。
同氏が持ち帰った写真はあまり鮮明ではなく、偽物ではないか、なにかの見間違いではないかという説も強く残っている。またその後、地元の新聞社が懸賞をかけてインカニヤンバの写真を集めていたが、その募集で集まった2枚の写真のどちらも偽物であると断定されている。
一方で、その他にもいくつかの目撃談があり、またその滝での水死者も出ている。その何人かは体の一部がなくなって発見されることから、インカニヤンバの仕業ではないかと恐れられているのである。また、さらにその存在をほのめかすものが、地元の人々の間での信仰である。そもそもこのホーウィック滝はズールー族という地元の民族の聖地と呼ばれている。そして、そこにはインカニヤンバという神様が住んでいると言われていたのである。それこそがティーニー氏が目撃した怪物の正体であり、古くから噂されていた怪物の正体ではないだろうか。
しかし、その一方でこのホーウィック滝は巨大うなぎの生息地として知られており3メートルを超えるうなぎの存在も認められている。このインカニヤンバも巨大化したうなぎかもしれない。しかしそれではティーニー氏が見つけた卵の正体はいぜんとして謎である。よって、現在でもその存在は謎に包まれているのである。