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2004年から2005年にかけて、とあるテレビ番組にてUMAの存在を探求するものがあった。芸能人が探検隊を結成し、噂されているUMAが本当にいるのかどうかその実態を探るというものである。その番組は好評でその後も幾度かスペシャル番組として放送されている。また現在でもそのパロディがあるくらい有名である。そんな番組に取り上げられたUMAの一種に「クルピラ」という生物がいる。この生物は、南米ギアナ高地に生息していると言われている。この高地にはほぼ垂直に切り立った山々が多く存在しており、テーブルマウンテンとも言われている。その山の上に雲がかかると地上とは全くの別世界になる。まるで天空に浮かぶ島のような秘境である。また、その山の所々に穴が空いており、その中もまた地上とは別世界となっている。またその地形は20億年前に形成されたと考えられている歴史の深い場所である。そのため独特の生態系が多く育まれていると言われる。
そんな美しく神秘的なギアナ高地にいると言われているのが「クルピラ」である。その姿は、緑色をしていて髪の毛は赤く、体長は1メートルほどと小柄であり、なんといても特徴的なのが、後ろ向きに歩くということである。しかし、俊敏に動き、現地の人々の間では森を荒らす者がいると懲らしめにくると恐れられていた。また、そのすみかは地上ではなく地底にあると言われていることから地底人ではないかという意見もある。
その「クルピラ」を日本に広めることになったのが前述のテレビ番組である。本来ならば、現地の人たちだけの噂であったものがテレビに取り上げられたことによってその存在が広まることとなった。
その番組内では、実際に芸能人を含む探検隊が南米ギアナ高地に足を踏み入れている。そして、謎の壁画や絵を発見し、ジャングルの奥地へと進んでいった。ジャングルに住んでいる現住民たちとも遭遇し、クルピラ発見に向けて進んでいき、最終的には地下へと走って逃げていく小さな緑色をした人間のような生物を目撃している。その姿はまさに「クルピラ」の特徴そのものであり、探検隊も「クルピラ」発見かと騒いでいた。その後、結局捕まえることはできなかったものの、その姿を確認することができたというところで番組は終了している。
探検隊が見つけたその生物は実際に「クルピラ」だったのであろうか。確かにその姿は赤い髪に緑色の体をしていて俊敏に動いていた。しかし、「クルピラ」の大きな特徴である後ろ向きに歩く、という点が異なっていた。番組で発見されたその生物はしっかりと前を向いて逃げていったのである。このことから「クルピラ」である可能性は低いと考えられる。また、番組自体、「冒険エンターテイメント」と表されており、あくまでドキュメンタリー番組ではないとされている。つまり、番組が用意したさくらであった可能性が高いと考えられる。
この番組で目撃されたものはさくらであったと思われるが、現地に「クルピラ」の噂があることは事実であり、今もその正体はわかっていない。はっきりとした証拠は残っていないものの、その存在を否定する材料もないのである。
そのため、未だに「クルピラ」の正体は謎のままであり、現地の人々には「森の悪魔」として恐れられている存在である。