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南西太平洋に浮かぶ島国ニュージーランド、オセアニアのポリネシア諸島に位置しており、主に二つの大きな島とそれ以外の小さな諸島で形成されている立憲君主制の国家である。一番大きな島であるサウスアイランドのクライストチャーチは地震があったことで日本でも有名である。そのほかにも豊かな自然が知られており、クック山、ミルフォードサウンド、サザンアルプスなどのたくさんの観光地がある人気のレジャースポットである。世界的に有名な温泉地や観光地もあって、各国から、日本からももちろん毎年多くの観光客がニュージーランドへ訪れている。
そんなニュージーランドは、太古から島を形成していたために大陸とは違った生態系を保持していることでも有名である。中でも特徴的なのが哺乳類の進化と言われており、その大きな特徴として、ニュージーランドにはコウモリ、クジラ類を除く哺乳類が存在していない。そのため、その穴を埋めるかのようい鳥類の発達が著しく、国鳥であるキウイやフクロウオウム、タカヘなどの飛べない鳥たちが多く生息している。人類が侵入してからは犬や猫などの哺乳類が持ち込まれたことによって生態系が壊されてしまった歴史を持っている。そのため、現在では、動物の持ち込みを厳しく制限している。
そのニュージーランドで世界を揺るがすようなUMAの存在が目撃された。その姿は、オットセイやカワウソに似ていて鋭い鳴き声を発すると言われている。「ワイトレケ」や「ヴァイトレケ」、「カウレケ」など様々な予呼び方で呼ばれている。それ自体は、他のUMAと同じようなもので目撃情報も地元の人々が見たことがある、といったたわいもないものである。これといった証拠も見つかっていないものの、ニュージーランドは広大な自然が広がっている場所であるがゆえに、まだ発見されていない生物がいたとしても不思議ではない。
だがしかし、この生物の注目すべきところは、ニュージーランドという場所とその種である。目撃情報からその特徴を考えてみるとどうやらこの生物は哺乳類のようなのである。太古から島であり、哺乳類はコウモリとクジラの他にはいないと思われていたニュージーランドに、実は哺乳類がいた、となればまさに世紀の大発見である。そのため、このUMAの目撃情報は世界各国の研究者たちから注目を浴びることとなったのである。
一方で、ニュージーランドには人類が進出して以来、犬や猫などの哺乳類を持ち込んできた過去があるのも事実である。それによって独特の生態系を築いてきたニュージーランドの自然は壊されてきた。そのため、今では厳しくなっているが、昔まだ規制が甘かった時代に、持ち込まれた哺乳類の子孫たちが野生化して生活しているのではないかという研究者もいる。そう考えれば、その哺乳類はニュージーランド固有種ではなく、他から持ち込まれた外来種ということになる。
今のところ議論は結論づいていない。なぜなら、目撃情報はあるものの、写真などはなく、また捕獲もされていないからである。今後、その生物が世紀を揺るがす新種の発見となるのか、それとも外来種の子孫たちなのか、いずれにしても捕獲してみないことには結論はつかないであろう。