口裂け女は1970年代後半に急速に広まった都市伝説である。大きなマスクをし、「私キレイ?」と聞いてくる。キレイですよと答えると、「これでも?」とマスクを取り、その口は大きく耳まで裂けている…といったものだが、話に尾ひれがつき最後は凶悪な殺人鬼になってしまった。

今のようにネットもない時代、なぜここまで急速に、そして全国的に広まってしまったのか。これにはある社会現象が関わっている。

実はこの時代、学習塾が一気に増えている。塾に子どもを通わせることが、一種のステータスとして流行った時期でもあるのだ。塾にはいろんな学校の生徒が集まる。塾で聞いた話を学校で話し、それがまた別の塾で広まる。話の性質から、圧倒的速度で全国的に広まったらしい…

それを証拠に学校が長期休暇となる夏休みを境に、口裂け女の話は急速に廃れてしまった。ちなみにこの話の発信源は誰だったのだろうか。
日本での情報伝達の仕組みを調べるために、アメリカのCIAが送り込んだ調査員が調べたところによると、ある岐阜県の主婦が浮かび上がった。

何故その主婦はそんな噂を流したのか。実はそこには悪意もなにもなく、ただ経済的に自分の息子を塾に行かせることができず、「塾に行って夜遅く帰ると、口裂け女が出るよ」とついた嘘がすべての始まりであったと結論づけられている。