超能力はある、私は使える、皆そういう能力を持っているのに、疑う心が力を抑えている、なんて話は、ときどき耳にします。
 私の知人も、超能力が使えるらしいのですが、普段は絶対に口外しないようです。
 それは、その能力の性質のため。
 人が死ぬのがわかるそうなのです。

「競馬が当てられるとかなら、出し惜しみせず、予想だと言って教えてあげられるけど、こんなのはね。 言って良いことと悪いことがあるから。」

 興味本位で、どんな感じでわかるのか、しつこく尋ねて教えてもらったのですが、少し後悔しています。
 実際のところ、相手が、自分はもうすぐ死ぬ、と言うのが聞こえるそうなのです。

「超能力を持っている人は大勢いるけど、社会生活を営んでいくのに、かえって支障が出るから、使えなくなるのが普通。 それでも、予知能力はあるし、自分のことは自分が一番よくわかるから、潜在意識では、自分がもうすぐ死ぬとわかってしまう。 私は、その声が聞こえる。 本人は喋っているつもりもないし、実際喋っていないと思うけど、私には、その人の声がはっきり聞こえる。 もうすぐ、お別れですって、言いますよ。」

 なんとも嫌な能力。 私に教えてくれる気になったのは、私の潜在意識が何と言ったからなのでしょうか。