ぼくらは寄生されている

 寄生虫に取り付かれた生物が、寄生虫に操られ、自分の生存に不利な行動をとる、という例はよく知られている。
 例えばカタツムリは、目立って鳥に食べられるよう、特殊なツノを出すことがある。
 これは、カタツムリが鳥に食べられることによって、寄生虫が本来の宿主である鳥に戻るためだ。

 さて、ある麻薬を解禁しろと選挙運動し、落選後、その麻薬を所持していた容疑で逮捕された女優がいる。
 麻薬解禁運動など、かえって当局に目を付けられるはずだが。

 もっと以前には、奇行が目立って、この麻薬の使用を疑われた芸能人がいた。
 彼はわざわざ人を集め、その麻薬の素晴らしさを力説して、「空も飛べるようになる」 とまで言った。
 その後、彼は転落事故を起こしたが、彼の話を聞いていた人達は、「本当に飛べるところを見せてやろうと思ったのじゃないか」 と噂したという。

 どうもこの麻薬、カタツムリのツノのように自分を犠牲にしてでも人に勧めたくなるようで、寄生虫に取り付かれているとしか思えない。

 麻薬自体に寄生虫がいるとは考えにくいが、既に取り付いていた寄生虫にとって役に立ったので、その寄生虫が広めようとしているのだ、とも考えられる。

 怖いのは、こういう風に考えると、麻薬に絶対反対の人も、その人に巣食っている寄生虫にとって有害である、というのが真の理由かもしれないのである。

 野菜を勧める人も、野菜に付着して侵入する寄生虫に思考をコントロールされているだけかもしれない。
 人が勧めるもの、反対するものには、特に注意が必要だ。