そいつは迎えにやって来る

 医者や葬儀屋でもないのに、人の死によく出くわす人がいました。
 そういう巡り合わせになるのは、前世の因縁を引きずっている場合が多くて、あまり良いことではありません。
 何より、その死者の霊が、あの世に召される際に縁者を連れて行こうとすることがあるのです。

 その人は、あるとき、また溺死体が浮いているのを見つけてしまいました。
 慣れたもので手続きを早々に終わらせましたが、帰宅途中、霊能力者に呼び止められました。

「あなたは、おぼれ死んだ人の霊と関わってしまっています。
 その霊は、悪霊と化しており、地獄へ落ちるときにあなたを連れていこうとするでしょう。
 今持っているお札をすべて差し上げます。
 あなたは、すぐ家に帰り、部屋に食料や携帯トイレを持ちこんで、立てこもりなさい。
 窓とか扉を全部閉めて、そこにそのお札を貼るのです。
 天井とか床にも、とにかく外界とつながるところには、すべて貼ってください。
 お札を貼ったところからは、悪霊は入って来られません。
 そうして、相手が地獄に落ちるのを待つのです。
 お札を張った部屋からは、24時間、絶対出てはいけません。
 日が昇っていてもだめです。
 もし、悪霊と出会ってしまったら、あなたも連れていかれてしまいますよ。」
・・・

 さて、その人は、霊能者に言われた通り部屋にお札を貼って立てこもったのですが、残念ながら、悪霊に連れていかれてしまいました。
 彼は、外界とつながる場所、そこにすべてお札を貼ったつもりだったのですが、部屋にあった机にはお札が貼られていませんでした。
 彼は、机の引き出しが往々にして異界との出入口になることを知らなかったのです。
・・・

 部屋に立てこもった彼の目の前で、机の引き出しが動き、そこから、あの溺死体の姿をした悪霊が現れました。
「こんにちは。 ぼく、どざえもん。」

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なお、リアルにあのカラーとフォルムは、水ぶくれをして碧黒く腐り果てた水死体を見た不二子不二雄先生が、無事浮かばれます様にとリスペクトしたという都市伝説がある模様。

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すぐさんのコメントに一本取られました…笑

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最後のセリフは、ド〇えもん の声色で。

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