思い込みでも人は死ぬ?脳の誤作動が引き起こす死

人間の「脳」というのは本当に不思議なもので、現在の医学を持ってしても解明されている割合のほうが少ないと言われている。

ノーシーボ現象という言葉を聞いたことはあるだろうか?

第二次世界大戦前のヨーロッパで、ある実験が行われた。ブアメードという一人の死刑囚がいたのだが、彼は、医師から医学の進歩のためと、ある危険な実験を持ちかけられ、考えた末それを受け容れた。

その実験の目的とは、人間の体重の10%が全血液量と云われているが、医師たちはそれ以上であると考えており、そのことを証明したいということだった。

かくして実験は開始され、死刑囚の足の全指先が小さく切開された。そこから血液が足元に用意された容器に落ち、その音が実験室内に響き渡った。

ブアメードには1時間毎に累積出血量が告げられた。やがて実験開始から5時間が経ち、総出血量が体重の10%を超えたことを医師が告げたとき、この死刑囚はすでに死亡していた。

しかしながら、この実験では、1ccの血液すら抜き取っていなかったのだ。死刑囚には、足の指先を切ったと思い込ませ、ただ水滴の音を聞かせて、体内の血液が失われていると思い込ませていただけだった。これが「ノーシーボ」といわれる現象である。

この実験が何を意味しているかと言うと、「心と身体は本来別々ではない」ということである。つまり、否定的な暗示によって人間は命をも失うのだ。この実験の場合は、「全体重の10%の血液が失われると死ぬ」という暗示である。

例えば夢で、痛みを感じることがあったとして、夢から覚めてからもその部位が痛んでいるという経験はないだろうか。痛みやしびれは、脳が引き起こしているため、そのような経験も脳の「誤作動」によるものだと言われている。

極端な例だが、殺される夢、死ぬ夢を見ただけで脳がそう作動してしまい、身体機能を低下させる事例もあるという。