虚舟の蛮女(うつろふねのばんじょ)

虚舟の蛮女(うつろふねのばんじょ)

『南総里見八犬伝』の作者として知られている人物、滝沢馬琴がUFOを目撃していた。という記述がある。
江戸の文化人達が語った奇談集である『兎園小説』、その中の一つ、虚舟の蛮女(うつろふねのばんじょ)というものだ。

旗本・小笠原越中守の領地、常陸の国のはらやどりという浜で、漁民達が沖合いに“奇妙な物”が浮いているのを見つけそうだ。
漁民達は小舟を漕ぎ出し、見慣れないその物体を浜辺まで引いてきたのである。
それは異形で見た事も無い形をしていたが、どうやら船のようであった。

その船の形は香の入れ物やお釜のような感じの円形で、直径は三間(約6メートル)ほど。
上部はガラス張りで松ヤニか何かを用いて隙間なく固めてあり、底は鉄板を連ねて張ってあり、岩に衝突しても壊れないような頑丈な造りであった。

丸い舟の上部はガラス張りなので、漁民達には中の様子がよく見えた。
皆が覗き込むと、その舟の中には異様な姿の女が一人、乗っていたそうだ。

その女は眉と髪が赤く、顔色は桃色であった。
白い付け髪を長く背中に垂らしていて、付け髪の素材は獣毛か縫物か見当がつかないものだった。
若者が話しかけてみたがまったく言葉が通じないようで、どこから来たのか問う事もできない。
その女はただ微笑んで、彼らの方を見つめ続けるばかりであった。

また、女は二尺(約60センチ)四方の大きさの箱を抱えていて、その箱を片時も離さず、人を近づけようともしなかったそうだ。

そのほか舟の中には、水が二升(4リットル)ほど入った瓶、素材の分からない敷物が二枚、菓子のようなもの、それに肉を練った様な食物があった。そしてそれらには皆『蛮字』が書かれていたのである。
(蛮字とは円形や直線、三角形をつかってその船に描かれていた文字らしきもののこと)

そして、もしこの女を役所に届け出れば、後の調査のための費用の負担をしなくてはならない。
(注:当時は警察に当たる奉行や役人を呼ぶと、彼らの接待費などは呼んだ者が受け持つ事になっていた)

なので漁民達は相談したうえで、女を元のとおりに舟に乗せ、再び沖に引き出し、流してしまったそうだ。

この話において、船に動力を示す記述がないことから、外国から漂着した船であるという説もあるが、船の異様な形状と搭乗していた女の姿から、UFOではないかという推測をする人も多い。

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