アザーズ 良くも悪くもホラー映画の切り札を使ってしまった作品

ニコール・キッドマン演じるグレースと、二人の子供が大きな屋敷で経験する怪奇現象の数々をゴシックホラーという分野で描いた作品の「アザーズ」。
1945年のイギリスという設定で、夫を戦争に取られた妻という立場でもあるグレースは必死になって二人の子供を育てているわけですが、重度の光アレルギーのため、分厚い遮光カーテンを閉めたままのひっそりとした生活を送っています。
子供たちが度々訴える、屋敷の中にいる「誰か」や、子供たちのいう「お友達」を訝しがるグレースにも、次第にはっきりと屋敷の中にいる他人を感じることになります。
大きなお屋敷には数人のお手伝いさんがいますが、どうもこの人たちがアヤシイ……と、まるでトワイライト・ゾーンなどの、あの世のお話になるかと思いきや、大どんでん返しが!
この作品、オチについては賛否両論すぎて意見が真っ二つに分かれます。
メガホンをとったアレハンドロ・アメナーバル監督はスペインの若手有望株。有名な作品ではトム・クルーズの「バニラスカイ」のオリジナル「オープン・ユア・アイズ」を作った人。
長年ホラー映画を好んで観てきた私には、スペイン人監督はホラー映画を作るのが上手いというイメージがあり、この作品を観ましたが「アリかもしれないけどコレをやってはいけないよ」という一言に尽きました。
ニコール・キッドマンはゴシックでも映える美しさで、ゴシック系映画が好きな人にはたまらないでしょう、それだけに個人的には脚本でがっかり映画になりました。こういうオチを作ってしまっては今後のホラー映画は何も作れなくなります。やってほしくなかった……。
「シックス・センス」などが好きな人にはおすすめできますが、おすすめのホラー映画を教えて!といわれて「アザーズ」はすすめません。80年代なら大ウケかもしれないですが、ホラー好きの人にはもうホラー映画は終焉なのかも、と思わせる作品。どんな作品か観ておきたい、というのであればどうぞ。個人的採点は辛口です。