ホラー映画には絶対に外せない作品がいくつかありますが、「シャイニング」はまさにその典型です。スタンリー・キューブリック監督とジャック・ニコルソンという偉大なタッグで制作されたものの、原作のスティーヴン・キングから壮絶なバッシングを受けたとされる作品でもあります。
実は、「シャイニング」は原作、映画の他、ドラマ版でも作品が存在します。ちなみにドラマ版はスティーヴン・キング自ら作り直しています。原作に忠実に作られることが少ないスティーヴン・キング作品の中でも、高い評価とオリジナリティあふれる技術を感じることができるのが、映画版「シャイニング」です。
厳冬と猛吹雪の中、老舗ホテルの管理人を任された小説家とその妻、息子の3人。誰もいない大きなホテルは静かすぎて、別の何かの存在も感じ取ってしまうほどです。まずは息子が、二人の少女が血まみれになる姿を見てしまい、小説家も次第に現実とも幻覚ともつかない世界に引きずりこまれていきます。
そして元から情緒不安定気味な妻の言動が拍車をかけ、夫や子供を追い詰めていきます。
雪に閉ざされ、屋敷にこもり、庭の迷路で迷い、と常に閉鎖的な映像と演出がほどこされているため、観ている方も息苦しさすら覚えます。
特筆すべきは、「シャイニング」から採用されたステディカムというカメラ手法。手ぶれを防ぎ、背後から影のようについていくカメラアングルは独特の恐怖感を演出します。子供の目線でステディカムを使用したシーン、迷路での不安をあおる演出は見事です。
原作、ドラマ版ともにどう評価されても、映画版「シャイニング」は34年経った今でも色あせることはありません。
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