この映画は栗山千明をどうしたかったんでしょうか。好感を持たす為に撮りたかったのか、怖がらせるために撮りたかったのか、よくわからない。どっちもやろうとして中途半端なんですよね。あの栗山千明の独特の雰囲気を"死者"として表現しようと思い立ったまではよかったんですけどね。この映画はもうちょっと泣かしに掛かった方が良かったんじゃないですかね。
昔、仲の良かった三人が時の流れによって離れ離れになり、大人になって二人は再会して、恋に落ちる。もう一人は再会はおろか、高校の頃に、無念の死を遂げてしまっている。話として観たいのはここで、この部分がしっかりしていれば、"お遍路黒魔術"や"首なし地蔵"など、もう何やってくれても良いんですけど、この映画はとにかくブレる。
一番嫌なのは、死んだ少女が昔、主人公の事を気に入ってなかったという事実が浮き彫りになる所で、それだと主人公の少女との良い思い出なんかも、全部壊れるし、なんかこっちとしては、単純に少女の早すぎる死を悼みたいんですよ。それをそんなわけのわからない設定作るから、もしかしたら復讐でもしにくるのかという、怖さが生まれてしまって、素直に人物描写が見れなくなってくるし、そんな事を描きたかったのかと、ちょっと残念なんですよね。
高校で死ぬなんて悲劇ですよね。世の中の何もわからないまま死ぬわけですから。そういう少女のもの哀しさ、無念さが人の心を打つし、観たかったんですけど、なんか生者が善で死者は悪みたいに簡単に話をまとめちゃっているんですよね。人の生き死にの話って、そんな簡単なはずないんですけど、この映画は簡単にしようとしてます。
案の定、ラストに死んだ少女が復活してくるシーンで、やっぱり主人公の事を恨んでいるというか、怖さを出そうとしているんですよ。それだけじゃ駄目だと思ったのか、取ってつけたかのようにもっと生きたかったみたいな事も言うんですけど、散々嫉妬した後なんで、時既に遅しなんですよね。
なんかもったいないですよね。栗山千明を変に悪者にしなければ結構良い映画だったような気がしないでもないんですけどね。星二つぐらいが限界ですが、やたらカメラ手持ちなのと、たまに岩井俊二並に映像が綺麗なんですよね。そして中盤、和室で登場する栗山千明が異常に可愛すぎます。
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