13日の金曜日 (2009年版) オリジナル同様、怖くないですな

オリジナル同様、怖くないですな。
ジェイソン自体がもはやキャラとして定着しすぎたがゆえに出てくるだけで笑えちゃうってのもあるし、暗い中からいきなり飛び出してくるようなビックリ展開があまりなく、ご丁寧にゆっくり背後から近づいてきてくれるので心の準備が出来て怖がりな観客に優しいつくり。ホラーにしちゃグロ描写も控えめで、割と即死に近い死に方をさせてくれることが多い。このへんも優しい。
冒頭の数分で1と2のおさらいをパパッと終わらせるところとか死亡フラグの折り方とか暗い中いきなり明るいBGMが流れるあたりとかは新機軸を作ろうみたいな気合を感じ。「おっ!」と思ってちょっと期待したんだけど、タイトルが出て以降は、まぁいつも通りというか定番の展開でした。基本的に非リアのジェイソン君がドラッグとセックスに溺れる頭クルクルパーのリア充どもをばったばったとなぎ倒していくお決まりのパターン。
確かにオリジナル版はホラー映画の王道と言われるけれど、さんざんあちこちでパクられた&パロられた結果、今じゃあむしろ古典的すぎて物語的な新鮮味はほとんど無いのだよな。今作の脚本もその王道をなぞってしまっているので安心して見られっちゃあ見られるけど、果たしてホラー映画にそういう安心感を求める人がどの程度いることやら。さすがに同じパターンの繰り返しじゃあきょうびの観客は飽きてしまう。ラストのアレとかもう予想の範囲内すぎて逆にびっくりした(「あ、やっぱアレやるんだ!?」みたいな)。
ヒーローはジェイソンただ一人で、殺される若者たちに個性なんぞ微塵も与えられないのがお約束のこのシリーズだが、今作に関してはある程度脇役たちのキャラを立たせても良かったんじゃないかなぁ。ジェイソンのキャラだけで90分持たせられるかってーと割とキツいと思います。主人公カップルすらあの無味乾燥っぷりだし。
この手の映画は仲間と集まってあちこちにツッコミ入れながら楽しむのがベターなんだから、もうちょいウィットに富んだギャグや演出を入れて欲しかったと思います。
『スクリーム』なんかは会話がちゃんと楽しいし、ホラー映画ファン用、初心者用と双方の仕掛けが入り乱れてどちらも楽しめる工夫が凝らされていたんだから。