シリーズの第一作目。本編映像をほとんど使わずに、本作の観客が泣き叫んでいる映像を使うというちょっと珍しい映像予告をしていた。(ゲームの話になるけれど、PS4で配信された体験版ホラーゲーム『P.T.』でも似たような映像予告を使っている。)
架空のドキュメンタリー形式、いわゆるモキュメンタリーなのだが、この映画の前後モキュメンタリー形式のホラー映画がけっこう出回っていた。自分が観ただけでも2008年『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』、2009年『REC/レック2』、同じく2009年『THE 4TH KIND フォース・カインド』など。しかしこれらの映画と比べたとき、本作の最大の特徴は素人目に見てもわかる低予算ぶりだ。
まず本作はすべてハンディカメラで撮られている。ロケーションは最後まで主人公の自宅の中であり、外に出ることは一切ないし、カメラアングルも固定されている場面が多い。役者は主人公カップルのミカとケイティの他には数人くらい。そして映画らしい派手な特撮も殆ど無い(まったく無いわけではない。)
しかしこれらの制約は決して本作をチープなものにはしていない。そもそもこの映画のストーリーと設定は、ケイティの身に起きる不可解な心霊現象を記録するために、カメラで撮影するというものだ。モキュメンタリーホラーの金字塔、『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』や、上記の『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』、『REC/レック』などはプロかセミプロのカメラマンが撮影している設定で、機材もしっかりしたもので撮られているだ。一方で本作は、ずぶの素人が家庭用のビデオカメラで撮っているだけの設定である。
モキュメンタリー映画というのは大抵、肝心な怪異を映さなかったりする。これはリアリティを出すための手法でもある。普通のホラー映画でもチープな人形やCGなどが出てくると笑いが起きる。ならば最初から画面に映さなければ良いというわけだ。ここで本作が素人の撮影だという設定が生きてくる。カメラがあさっての方向を向いてしまったり、映像が不鮮明で何が映っているか判らないという事態は、我々がホームビデオを撮影するときにも頻繁に起こることだからだ。
そして本作ではひたすら焦らされるばかりでなく、ひとりでに動くウィジャ盤や衝撃のラストシーンなど、不自然にならない程度に特撮を使った派手な見せ場が用意されている。怪異の原因についても、おそらく悪魔憑きという、一応の解答が示唆されているので、この手の映画にありがちな謎が謎のまま終わるというモヤモヤもない。
グロテスクなシーンなどもまったくないので初心者にもオススメできる映画ではないだろうか。
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